生命と健康の家づくり
住まいのはじまり
約1万3000年前、日本の自然環境に適応した人々の暮らしが始まり、自然の恵に感謝する日々を受け継ぎ1万年も続いた縄文時代は、日本人の暮らしの源流である。
私たちは、この時代より日本の自然環境に適するよう進化した遺伝子をもち現代を生きている。ごく近年まで、私たちは身近にある自然なものを身に纏い、食し、住居として活かしてきた。
木材を斜めに掛け屋根を構築し、柱間に壁を設ける日本の家は、この古の時代より身近な素材を使い、受け継がれてきた住宅の形が、我が国に最も相応しく、この延長線上にあるべきと考えています。それは、私たちの意識とは別に、深い遺伝子に刻み込まれているのではないだろうか・・・。
地域単位で集団生活をしていた洞窟から、家族単位ので建てた竪穴住居が日本家屋の原型であろう。身近な自然の素材で組み上げた空間では、家族が車座になり「大地」の上で「火」を焚き、自然の象徴として「火」を崇め、衣食住が満たされた安泰の日々を過ごしていた。
受け継ぐ本物の家
縄文時代と異なり現在社会の中で、安全な住宅を計画するには様々な条件が異なる。しかし住宅本体が必要とされる概念は、太古の昔からなんら変わらない。
私たちが心身ともに健康で心地よいと感じる住空間は、約1万3000年もの長き間に私たち日本人のDNAに刻み込まれた空間に違いない。すなわち、この1万3000年間も受け継がれてきた自然の恩恵を受けた空間である。
自然の素材を使い自然に感謝し自然を崇め、先人の知恵と工夫を解消しつつ後世にこの住宅概念を継承する住宅でなければならない。
ただし、現代社会では、生涯に渡る経済および地球環境にも負担をかけない家づくりを計画しなければならないだろう。