花粉症の原因は住環境にある?

花粉症の原因は住宅かもしれない

花粉症は大気汚染と花粉による、複合的な環境物質が原因とも報告されています。しかし大気汚染問題が解決の方向にもあるにも関わらず、花粉症患者は増加し続けており、その原因は、室内環境特に建材に含まれる化学物質が大きな原因ではないかと考えています。

山林管理者に花粉症は少ない?

私が知る限り、また山林関係者の話を聞くと、山林で働いている方に花粉症の方が少ない傾向にあり、杉花粉だけが原因で、花粉症になる方は少ないようです。では、1960年代から現在まで私たちの周りで、増加し続けているものといえば、住宅に使用される建材に含まれる揮発性有機化合物ではないか、と考え始めた。

花粉症の原因は大気汚染ではない

花粉症の発症は1960年代から現代まで増加が止まらず、現代では約半数の方が花粉症に悩まされているとの報告もある。一時期、急激な環境変化と言えば聞こえはいいが、はっきり言えば大気汚染により、花粉症の患者が増えたのではないかと、指摘された。しかし、現在大気汚染はかなり改善しても、花粉症で悩む人の数は減少しない。

花粉症有病者の推移

第1回調査 10.0%
 (昭和58年度~昭和62年度)
第2回調査 19.4%
 (平成8年度)
第3回調査 28.2%
 (平成18年度)
第4回調査 48.8%
 (平成28年度)
東京都福祉保健局調査結果

急激な環境変化は住環境

大気汚染が改善されても花粉症の有病者数が減少しない現実がある。戦後、大気汚染以外に私たちの環境に発生した環境の急激な変化があるとすれば、住環境しか考えられない。確かに戦後、私たちの住環境には大きな変化が認められる、それは化学物質の使用にある。戦前の住宅は基本的に自然素材を使用されていた。しかし、戦後は、急激に有機化合物を放出する合成樹脂を含む建材が多用され、この揮発性有機化合物が花粉症発症に大きな影響を及ぼしているのではないだろうか。

合成樹脂の生産量推移

国内では昭和35年頃から、合成樹脂化合物の生産量が増加し始めました。
高度成長期1960(昭和35)年に四大公害病の一つである、集団喘息障害として多くの方が被害を受けた四日市ぜんそくが発生する5年ほど前です。

建築建材にも合成樹脂が使われ始めた

これに伴い、建築建材にも合成樹脂化合物が、大量に使われ始めた頃だと容易に想像がつきます。現在では、当たり前のように多くの建築建材に合成樹脂が使われているが、建築建材に合成樹脂が、多く使用され始めたのはいつ頃なのだろうか、UR都市機構(旧住宅・都市整備公団)の標準仕様書変遷により、公団住宅の内装仕上げ表を参考にしてみます。

住宅・都市整備公団内装仕上げ

住宅・都市整備公団の公団住宅から、国内の住宅に使用されていた素材を推測してみる。

住宅・都市整備公団「公団住宅」内装仕上げの変遷
参考:UR都市機構

※塗装用語                   
OSW:オイルステインワックス仕上げ       
OSV:オイルステインワニス仕上げ        
EP-I:合成樹脂エマルションペイントJIS K5663 1種
EP-II:合成樹脂エマルションペイントJIS K5663 2種
OP:オイルペイント(植物油使用)        
SOP:合成樹脂ペイント             
VP:塩化ビニル樹脂ペイント           

公団住宅建築当初の仕上げ

昭和30年、合成樹脂の生産量はそれほど多くなく、住宅・都市整備公団の発足当初の内装仕上げは、個室・居室壁のEP(合成樹脂エマルションペイント)便所・浴室天井のVP(塩化ビニル樹脂ペイント)洗面所壁の合板などがに加えて、少量ですがフローリングボードに使用された接着剤でしょうか。合板に使用されていた、接着剤およびホルムアルデヒド量は気になるところではありますが、主に塗料に含まれた合成樹脂になり、完全に乾燥をしてしまえば、揮発性化合物の発生は少量だったのではないかと思われます。

合成樹脂と化粧合板

昭和37年には便所の床に合成樹脂系塗床仕上げとなり、40年になると、洗面所の壁に化粧合板が使われ始めた。個室は当初より全室畳であったが、44年から防虫処理が施され、一部の部屋が合板の床材となる。

化粧クロスの登場

公団住宅で、クロス(壁紙)が採用されたのは、昭和44年に個室天井に採用された化粧クロスが最初です。この化粧クロスが何で出来ていたか詳細は不明です。昭和46年に、織物の表面に塩化ビニル樹脂を張り合わせた装飾用壁紙の実用新案が申請されていることから、織物壁紙に汚れ防止になるような性能を施した壁紙であったのではないかと思われます。化粧クロスは塩ビクロスでないことは確かなようです。

塩化ビニルクロスの開発と技術公募

塩化ビニルクロスが採用されたのは、昭和50年に居間と洗面所の天井に採用されたのが最初です。現在でも住宅・都市整備公団を引き継いだ、UR都市整備機構が技術情報を公募していることから、昭和50年前に合成樹脂を使用した安価で品質の高い化粧壁紙の公募が行われたことは、この年に何件かの特許・実用新案の申請が行われていることから想像がつきます。システムキッチンの原型である、キッチンセットも住宅公団からの技術情報公募により開発され、公団住宅に最初に採用されている。
塩化ビニル樹脂壁紙に関する出願例
昭和50年出願:52年公開:発泡性塩化ビニル壁紙
昭和50年出願:52年公開:樹脂を吹き付けた壁紙
昭和50年出願:52年公開:合成樹脂を仕様した光沢壁紙
昭和50年出願:52年公開:ポリ塩化ビニル樹脂使用壁紙

塩化ビニルクロスの登場

塩化ビニルクロスは、昭和50年に居間と洗面所の天井に採用されたのが最初です。翌々年の52年に個室、居間、便所、洗面所の壁に使われている。翌51年には浴室は全てユニットバスが採用されたことにより、公団住宅の内装全てに合成樹脂や接着剤が使われ、公団住宅の室内は化学物質で囲まれることになった。ちなみに個室や居間、洗面所の壁面はコンクリート素地に塩化ビニルクロスを直張りする仕様になっているので、結羅やカビが大量に発生していたのではないだろうか。結露、カビが増えればダニも当然多くいたのではないだろうか。戦後の住宅不足と高度成長期には、早く安く住宅の供給を急いだ結果、合成樹脂と接着剤さらにはカビやダニに囲まれるという、時代であったことに間違いはない。

一般住宅で塩化ビニルクロス使われ始めた時期

塩化ビニルクロスは、公団住宅からの技術公募が発端で、開発が進んだものと思われ、国内では公団住宅に初めて採用され、一般の住宅建築に普及し始めたのは、昭和50年以降であったと推測され、この時期から住宅に多くの化学物質が入り込み、有害な揮発性有機化合物を発散する住宅が、急激に増加し始めたのではないでしょうか。


ベニヤ・合板

合板は奇数枚の単板(切削した薄板)の積層面に接着剤を全面塗布し直交積層させ製造するため、製品の安定性や使い良さは無垢材と大きく異なる一方で、接着剤および防腐剤等の使用量が多く、一時大きな社会問題となった「シックハウス症候群」は、この合板が発する臭いから始まった、ともいえる建築建材の一つです。

合板の歴史(抜粋)

1907(明治40)年|日本製合板が完成
1923(大正12)年|関東大震災後の復興に大きく活躍
1931(昭和6)年|ラワン材の使用が本格化により生産高が増加
1953(昭和28)年|農林省が合板の日本農林規格(JAS)を制定
1955(昭和30)年|ユリアメラミン樹脂の開発に成功
1973(昭和48)年|合板生産量、輸入量が史上最高を記録している。

参考:@合板

建築への合板利用

合板は化粧材というより、長年コンクリート型枠や床、壁、屋根の下地材として重宝されてきた。公団住宅では建築初年度の昭和30年には、すでに便所と洗面所の壁や天井には塗装を施され、仕上げ材として使用されています。昭和41年には洗面所の壁に化粧合板が採用されています。また確かではありませんが、個室の畳下地にも合板が採用されていたかもしれません。戸建住宅での利用は定かではありませんが、水分や湿度による変形が少ない合板は、建築業界ではなくてはならない建材として重宝されていたと推測できます。

居室での合板使用開始

畳の下地に合板が使用されていた可能性はあるものの、居室の床の化粧仕上げ材として合板が使用されたのは、昭和44年のベニヤフロアが最初です。変形の少ないベニヤは、無垢材のように収縮がなく、一般住宅でもクレームの対象となりにくいことから、多くの住宅に採用され始めたことでしょう。48年には個室が積層フローリングボードが張られ、56年には床材全てに合成樹脂を利用した建材となります。


建材に含まれる化学物質と健康被害

室内で目や鼻、のどの刺激症状や皮膚の紅斑、かゆみ、頭痛、精神的疲労、めまい、吐き気を引き起こすが、室内から離れると症状が治まり、特定の室内だけで発症するアレルギー疾患の一つともいえるシックハウス症候群と、ごく微量の化学物質にても様々な症状を訴え、精神的にも重く異常を感じるとされる化学物質過敏症が報告されている。

シックハウス症候群の歴史

1970年 :東京都で食器棚からホルムアルデヒドが大量に検出されたと報告がある
1970年代:ビル内で体調不良を訴える人が続出する(アメリカ)
     :ビルの室内空気質と健康障害の関係についての調査開始(デンマーク)
1980年代:シックハウスと思われる症例も報告されていたが原因不明とされていた。
     :欧米でも同じ様な症状を訴える患者が多発している
1994年 :「シックハウスを考える会」が設立
1997年 :旧厚生省が中間報告としてホルムアルデヒドの室内濃度指針値を公表。
2000年 :大阪府を中心に「シックハウスを考える会」が実態調査
2002年 :特定建築物におけるホルムアルデヒドの測定及び対策が義務づけ。)
2003年 :建築基準法の改正

参考
公益社団法人社会貢献支援財団
wikipedia
厚生労働省
シックハウス大辞典(web)

花粉症発症の原因は大気汚染から住環境汚染へ

1960年代に初の事例が報告された花粉症は、おそらく大気汚染が大きく関わっていると考えられます。合成樹脂の生産量が1958年から増加し始め、1960年代には急増している。四日市ぜんそくや川崎公害が発生し、1970年には東京で初めて光化学スモッグが確認された時期である。1968年大気汚染防止法が制定され、1972年から車の排気ガス物質を除き減少傾向にある。しかし、1975年頃から住宅に使用される建材から放散する揮発性有機化合物が増加し始め、屋外より長時間過ごす室内で、新たに住環境汚染が始まり、花粉症患者が増加し続ける原因となったと考えています。

PM2.5の疑い

大気汚染といえば、工場や自動車の排気ガスから発生する粒子状物質(pm2.5)や、大陸から飛来する黄砂なども花粉症と大きく関係している可能性も否定できない。花粉症は、大陸の環境汚染物質が付着した黄砂とともに花粉を吸引することで、発症するとの意見もある。確かに可能性としては十分に考えられ、花粉症の悪化を招いているのかもしれない、しかし、身体への被害を影響を及ぼすなら、住環境による化学物質の方が、健康に害を与える力が大きのではないだろうか。

花粉症発症の原因は大気汚染から住環境汚染へ

1960年代に初の事例が報告された花粉症は、おそらく大気汚染が大きく関わっていると考えられます。合成樹脂の生産量が1958年から増加し始め、1960年代には急増している。四日市ぜんそくや川崎公害が発生し、1970年には東京で初めて光化学スモッグが確認された時期である。1968年大気汚染防止法が制定され、1972年から自動車が排出する排気ガス物質を除き減少傾向にある。しかし、1975年頃から住宅に使用される建材から放散する揮発性有機化合物が増加し始め、屋外より長時間過ごす室内で、新たに住環境汚染が始まり、花粉症患者が増加し続ける原因となったと考えています。

「花粉症と住環境の実態調査」ご協力のお願い

私は、花粉症の発症は住環境と密接に関係していると考えています。しかし、住環境と花粉症に関する調査は、私が知る限り皆無です。もし住環境が花粉症発症に何かしらの因果関係が認められるなら、住宅関係に従事している者として、大きな責任を感じます。またできるなら早急に花粉症で悩み、苦しむ方を一人でも少なく、症状を改善する方法を探り、一人でも発症するかたを減らしたいと、強く願います。
花粉症の解決にはまず、花粉症患者の方々と住宅環境の調査を行うことから始めなければなりません。どうか一人でも多く花粉症の辛さから解放されることを願い、皆様のご協力をお願いいたします。

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