ウイルス・住宅・くらし

もくじ

2020年 COVID-19
「ウイルス・細菌・真菌」の違い
 ウイルスは宿主して増殖
 宿主先は限られる
消毒と滅菌
 消毒・滅菌の基本
 消毒の方法
 滅菌の方法
 主な熱消毒法
 ウイルスの種類と熱水消毒時間
エンベロープの有無
素材とウイルス残存時間
 ウイルスの残存時間
 米国「国立アレルギー感染症研究所」の報告
 「香港大学」の報告
 素材から考える感染予防策
 新しい生活様式と素材選び
抗ウイルス建材
 化粧板
 壁紙
 シート
 床シート
 ガラス
 衛生陶器・タイル

2020年 COVID-19

新型コロナCOVID-19、ウイルス名SARS-Cov2によるパンデミックは、国内だけでなく世界的に未曾有の危機を招いている。尊い命を突然奪い取り、経済的な困窮者を生み出し、人々の将来を左右し日常を大きく変化させている。

国内では1918年(大正7年)から1921年7月までの3年間で、人口の約半数(2,380万人)が羅患、死者38万8,727人。全世界で5000万〜1億人が羅患し、2,500万人が死亡したともいわれるスペインかぜ、近年の鳥インフルエンザ(H5N1型)などを経験した。

今回の新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」は、大きな爪痕を残しながらも、医療関係者や科学者の手により、ワクチンと治療薬が開発され、いつの日か必ず終息を迎える日がやって来ると信じている。

しかし、今回のCOVID-19パンデミックが終息したとしても、またいつの日か、今回のコロナウイルスと同様に、未知のウイルスが世界的なパンデミック発生を生み出す可能性を否定することは、誰にも出来ない。

今を生きる私たちは、必ずこの世界的な大きな危機を乗り越え、後世に同様の危機が訪れた場合、出来る限り被害を最小限に抑える術を正しく伝えることだ。

私たちは、未知の感染症が発生したとき、何をしなくてはならないのか、何をしてはいけないのか。日頃から何を準備しておかなければならないのか、今回の悲惨な経験から多くのことを学んだ。

もちろん、社会全体で考えなければならないことでもあるが、少なくとも、私たちは感染症という目に見えない恐怖と戦うには、一人一人の社会人としての自覚、道徳、人格が必要であることに間違いはないだろう。「私だけなら・・・」などと社会に甘えていてはいられない。

今回の新型コロナウイするによる感染爆発「パンデミック」は、私たちに新しい生活様式を求め、暮らしも働き方も一変させ、尊い命を奪い取り、経済を麻痺させ一瞬で社会を根底から大きく覆すという未知の経験をした。

この経験を後世に伝えるには、ただ言葉や文字で残すだけではいずれ廃れてしまう。今この時から感染症に対する意識を変え身体にすり込み、生活習慣や住宅も含めて暮らしを足元から考え直す必要がある。

「ウイルス・細菌・真菌」の違い

インフルエンザウイルスやノロウイルス、O-157などの「ウイルス」と、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌などの「細菌」、白癬金、麹菌、枯草菌などの「真菌」には大きな違いがある。

ウイルスは宿主して増殖

ウイルスは細菌や真菌と違い、個体で増殖できず、必ず他の生命体に宿主しなければならないのです。そして宿主できる相手もウイルスごとに限られています。ですから当初、鳥にしか宿主できなかったウイルスが、人間にも宿主できるように変異し、感染が拡大したのが鳥インフルエンザ(H5N3亞型)です。

宿主先は限られる

今回の新型コロナウイルスSARS-Cov-2の起源となった動物は、コウモリ、ヘビ、センザンコウだが、そこからどのようにして人間に感染するようになったかは、まだ不明だといわれている。さらに、ネコにも感染することが確かめられたが、発症するか否かは不明のようだが、猫が再び人間に感染させる可能性は高いといわれる。

消毒と滅菌

消毒:対象微生物の数を減らすための対処法。感染症を引き起こさない水準まで病原微生物を殺滅または減少させること。

滅菌:すべての微生物を対象として、それらをすべて滅菌または除去する方法。

消毒・滅菌の基本

最適な消毒法は、生体や環境への毒性が少い熱を利用する方法であり、熱が使用できない生体や環境、非耐熱製品の消毒および熱消毒設備がない場合には、薬液等を使用した消毒を行うことになる。

消毒の方法

消毒の方法

滅菌の方法

滅菌の方法

主な熱消毒法

熱消毒法温度時間
煮沸法100°C煮沸水15分以上
流通蒸気法100°C加熱水蒸気30〜60分
熱水消毒80°C以上10分以上

ウイルスの種類と熱水消毒時間

ウイルス種温度時間
鳥インフルエンザ(H5N1,H7N9)80℃10分
SARS(重症急性呼吸器症候群)80℃10分
MARS(中東呼吸器症候群)80℃10分
エボラ出血熱80℃10分
ペスト80℃10分
結核 95℃10分以上

エンベロープの有無

ウイルスは、中心となる核酸と、それを囲むカプシドと呼ばれるタンパク質の殻で構成される粒子である。インフルエンザウイルスには、大部分が脂質からなるエンべロープと呼ばれる膜状の構造をなすため、エタノールや有機溶剤、石鹸、界面活性剤などで容易に不活性化が容易である。一方で、ノロウイルスやロタウイルスは、エンベロープを持たないため、エタノールや石鹸などで不活性化させることは出来ないため、塩素系の漂白剤を使用しなければならない。

■ エンベロープウイルス
  コロナウイルス
  インフルエンザウイルス
  ヘルペスウイルス
  風疹ウイルス
  B型・C型肝炎ウイルス
  エイズウイルス
■ ノンエンベロープウイルス
  ノロウイルス
  ロタウイルス
  ポリオウイルス
  アデノウイルス

参考:日本医師会
   山口県環境保健センター

素材とウイルス残存時間

ウイルスは、宿主しなければ増殖できない。

しかし、ウイルスは宿主先から追い出された瞬間に不活性化することはなく、空気中に浮遊したり物体表面などに付着した後にも感染力を保ち続ける。

現時点では、汚染された物体の表面や、無生物から感染するかどうかは不明とされているものの、死滅(不活性化)するまでの時間を知ることは、感染抑止に大きく役立つに違いない。

ウイルスの残存時間

ウイルスの残存時間に関しては、米国の「国立アレルギー研究所」および「香港大学」の興味深いレポートがそれぞれ、今年4月の医学紙に掲載された。

データを比べると、同じ素材表面でもウイルスの残存時間に大きな差があるため、確定したデータとは言い難いが、これらのデータから感染対策に有効な素材が見えてくる。


米国[国立アレルギー感染症研究所]の報告
「SARS-CoV-1と比較したSARS-CoV-2のエアロゾルおよび表面安定性」

 素材残存時間CoV-1残存時間CoV-2
 エアロゾル 3時間 3時間
 銅表面 8時間 4時間
 段ボール 8時間24時間
 ステンレス表面48時間48時間
 プラスチック表面72時間72時間
「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」公開日:2020年4月16日

[香港大学]の報告
「さまざまな環境条件でのSARS-CoV-2の安定性」

物質表面:室温22度、湿度約65%

 素材 残存時間
 印刷用紙 3時間
 ティッシュペーパー  3時間
 加工木材 2日(48時間)
 布地 2日(48時間)
 ガラス 4日(96時間)
 紙幣 4日(96時間)
 ステンレス 7日(168時間)
 プラスチック 7日(168時間)
 医療用マスク:内側 7日(168時間)
 医療用マスク:外側 7日後も検出
「ランセット・マイクローブ」公開日:2020年4月2日

室温の違いによる安定度

 室温経過時間不活性化
  4℃14日後感染力に変化なし
 22℃ 7日後検出あり
 22℃14日後検出なし
 37℃ 2日後検出なし
 70℃ 5分後検出なし
「ランセット・マイクローブ」公開日:2020年4月2日

素材から考える感染予防策

2つのレポートから、ウイルスの残存時間は、付着した素材の違いで大きく異なることが分かる。

医療用マスクのウイルス残存時間が、7日と長期間なのは、マスクに使用されている素材が樹脂繊維(プラスチック)を主原料に製造された不織布製であり、プラスチックと同じ残存時間となることもうなずける。

また、建築に使用されるビニールクロスは、プラスチックであることから、抗ウイルス処理をしていない場合には、残存時間は7日以上と考えて良いだろう。

ステンレスの7日に対し、同じ金属でも銅が4時間あるいは、8時間と短いのは銅イオンの効果と推測されることは、これまでステンレスが主流であったドアノブなどの建築金物を、銅の合金である黄銅などを使用すると、一晩でウイルスが不活性化する可能性も出てくる。

ガラス表面に4日間残存するとすれば、表面がガラス質の陶器、洗面器や衛生陶器などの表面にもウイルスは、4日間も不活性化することなく存在するため、こまめな消毒を施さなければならない。

データ全体から、紙や布、板など吸湿性のある素材が、ウイルスの残存時間が短く、プラスチックなど吸湿性のない素材上では長くなる傾向にあるようで、いわば、自然素材が有効だと言っても良いかもしれない。

あるいは、外出時に着用する衣類などは、ナイロンやポリエステル、アクリルなどの合成繊維製の衣服を避け、紙布製にすれば勤務中あるいは、就寝中にウイルスが不活性化するため、感染予防に効果的であるともいえる。

ただし、今回のレポートでは、単に布地となっているため、この素材が絹なのか綿、麻、ウールなどの素材が特定されていないことが、残念である。

新しい生活様式と素材選び

今後いかなる未知のウイルスにより、パンデミックが発生するかもしれない、今回の感染爆発を経験した私たちは、この経験をいつまでも後世に残すため、感染対策、生活習慣としてあるいは、改めて地球環境のためにも、身の回りからプラスチック製品をできうる限り排除し、自然素材を選ぶ暮らしを身につけなければならない。

また、自然素材の中には、漆喰のように素材自体に抗ウイルス効果が期待できる素材もあることから、今後は抗ウイルスをキーワードとした素材の選定も行う必要があるだろう。

抗ウイルス建材

私は、住宅の建材には、無垢材や漆喰などの自然素材をお勧めする。

しかし、自然素材の抗ウイルス性は期待できるものの、国内で科学的な裏付けとなるデータは、一部木材や漆喰に関するデータはあるが、「SARS-Cov2」のデータが、残念ながら手元になく、確証が得られないことから、大手メーカーが開発した抗ウイルス建材を取り上げた。

この中で、お勧めしたいのは、TOTO社製の光触媒技術「ハイドロテクト」と日本板硝子『ウイルスクリーン』、株式会社ディーエイチシーの機能性タイル「Medico(メディコ)」である。

化粧板

大建工業株式会社 「おもいやりシリーズ」
アイカ工業株式会社「ウイルテクト」
株式会社三洋「ウイルスガード」

壁紙

株式会社ヤマチコーポレーション 壁紙「Arms」
株式会社サンゲツ 「抗ウイルス壁紙」

シート

関西ペイント販売株式会社 「抗ウイルスシート」
株式会社 三洋 「抗ウイルス性引き戸取手プロテクトシート」

床シート

ロンシール工業株式会社「ロンプロテクト」
アキレス株式会社 「アキレスウイルセーフ」

ガラス

日本板硝子 「ウイルスクリーン」

衛生陶器・タイル

TOTO 株式会社 光触媒技術「ハイドロテクト」
株式会社ディーエイチシー  「Medico(メディコ)」

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