「いい家」

「いい家」を手に入れる

自分にとって、家族にとって「いい家」とは決して他から押し付けられるものではありません。

もくじ

「いい家」ってどんな家?
「なんとなく心地良い家」
住宅の目利きになる
目利きになる住宅雑誌はこの雑誌
時代に残る著名な建築家
最後に一言

そもそも「いい家」とはどのような家なのでしょうか?

ネットで「いい家」と検索し目につくのは、おおよそ次のような言葉ではないだろうか。

人や環境に優しい家
健康で快適な家
維持管理が容易で長持ちする家
資産価値が下がらない家
価格が手頃な家
安全安心に暮らせる
居住性と家族の健康に配慮
家族の繋がりを生む家
省エネルギーの家

加えて近年のコロナ渦では
清潔に暮らせる家も「いい家」の条件の一つになるのかもしれない。

これら条件の多くは、おおよそ数字で表現できる住宅性能に関することである。

内見会やモデルハウスにて見学される方々の様子を見ていると、来場者がずっと立ちっぱなしで各部屋を回り、所々で立ち止まり詳細なところに関心したり「なるほどね〜」と納得したりしながら一通り住宅内を見学し、お礼を述べて退去する家もあれば、どこにも関心するることもなく、さっさと出たくなる家もある。

中には居心地が良く、庭に面した大きな窓から足を投げ出し、まるで自宅にいるときのように、いつの間にか座り込んでしまっている家や初恋の時のように「ときめき」がある家、玄関に足を踏み入れた途端、胸が「キュン!」とする家もある。

この違いはなんなんだろうか?

お子さんと一緒に家を見に行った時、それまでご機嫌だった子が家に入ると突然、泣きだしたり逆に少々ご機嫌斜めだった子が、なんとなく微笑んでいたりという経験はないだろうか?
「他の住宅会社さんの家では泣きじゃくるこの子が、ここの家では微笑んでいる」
「さっきまで泣いていたのに、この家に入ると泣き止むの」
などとこのような、ご両親の言葉を聞いた経験もある。

多くの住宅を設計し、数多くの住宅を見てくると本当に「いい家」には、これらの数字では表現できない何かがあることに気付く。

それは言葉では表現しにくい感覚的なものではあるが、一言で言えば「なんとなく心地よい家」と、いえるのかもしれない。

「なんとなく心地よい家」

なんとなく設計していては「なんとなく心地よい家」を創ることは不可能である。

「なんとなく・・・」と言えば、
「はっきりと説明できない」「わけもなく」「どことなく」「取り立てていう様子がない」とも言われるが、一般的には数字化できない感覚的な世界と、とられるかもしれない。

しかし、ただなんとなくでは家を建てることは出来ない。敷地の方位、季節や時間などを考慮し光の入り方や風をが通る計画を行い、景色が良い方向には開口部を設け、視線が気になる方向や見たくない場所は塞ぎつつ「抜け感」を感じるよう計算しつくした空間構成を行う。

「なんとなく心地良い」と感じる住宅は、詳細な部分に至るまで計算され尽くした「いい家」であると考えても良いだろう。

近代建築の三大巨匠の一人ドイ出身のミース・ファン・デル・ローエが唱えた「神は細部に宿る」の言葉通り「なんとなく心地良い住宅に仕上がるように、設計者はどんなに些細な箇所む含めて住宅全体の寸法を決める。

床面積にふさわしい天井の高さ、開口部の位置と大きさから始まり、床と壁の間に取り付ける巾木の種類と寸法、天井と壁に取り付ける回り縁の形と寸法、窓枠の寸法、さらに格子や障子などの室内建具も格子の数や寸法など、住宅内のありとあらゆる寸法に注意を払い寸法を決め設計図を描くことで「なんとなく心地良い家」を創り出すのだ。

ちょっと極端かもしれないが、人の顔を例にすると、ふたつの眉、ふたつの目、ひとつの鼻、ひとつ口とパーツはどの人も同じだ。

顔を構成するのに髪の毛も考えなければならないと、ご指摘を受けるかもしれない。
確かに髪の毛も大きな要素と言えるが、あくまでも顔として考えたいので髪は省きたい、それに生え際は個人差が大きく、私自身もあまりふれられたくない個人的な理由もある。

さて、人の顔を構成する6つの要素に加え輪郭という、わずかに7つで構成される顔の各パーツの位置と大きさの寸法的な差は数mmほどから大きくても10数mmの違いで世界3大美人と呼ばれたり、ミスユニバース日本代表や各地のミスコンで優勝できる人、あるいはヒッジョーに悔しいことだが各部位の寸法が私と数ミリ違うだけで、イケメン男優として映像の世界で活躍している者もいる。

たとえ、同一人物であったとしても顔の一部が数ミリ動くだけで多彩な感情を表現し、豊かな表情を産み出すことをご存知であれば、住宅も数ミリの違いで、その空間から受ける印象は大きく違ってくることを理解いただけるだろうか。

「いい家」の設計は些細な気配りの集合体で空間は構成され「なんとなく心地良い家」はこのように繊細で心配りがなされた設計の上に成り立つ、本当にいい家を求めるのであれば、このような細部にわたり住まい手のことを考えた建築士に依頼すべきである。

川合玉堂や横山大観、小林古径、山口蓬春、伊藤浸水と、日本を代表する芸術家をはじめとして、多くの著名人の住まいを設計した建築界の大御所、吉田五十八氏はその著書「饒舌抄」の中で、ある古老の言葉として「一口に言って『いい家』とは」との問いに
「かりにある人が家を建てて新築開きに招ばれたとして、そのお宅へ伺って、一わたり家を拝見して、気持ちの良い普請だが、さりとてここばかりが良いといって、取り上げるほど位良いところもないかわりに悪いところもないしと考えながら、そこの主人さんと、いろいろと話をしているうち、なにかこう心がだんだんと、あたたまってきて・・・さて帰る段になると、なんとなく心が惹かれて去り難いような気がして・・・家に帰ってからも、なにかもう一度あの家へ行ってみたくなるような家がほんとうによく出来た家なんですよ」と綴っている。

住宅の目利きになる

骨董品の目利きになるには、とにかく良いものも、いかがわしいものも多くの品を見るというように、住宅もより多くの作品を見て感性を磨いた方が良いに決まっている。

実際に建っている住宅を見学できれば理想的だが、図書館にて著名な建築家の作品集や建築雑誌に掲載される作品、あるいはWEBにて優れた住宅を見ることだ。

もちろん物事全てに個々の好みもあるだろう、しかし目利きになるには好き嫌いだけでなくどこが優れているのか、いけないのか客観的に見つめなければならない。

確かに作品の中には、住宅業界の最先端を突っ走るような作品もあるだろうし純和風の数寄屋建築、民家型や町屋、和モダンなどなど数多くの作品がある。様々な作品に触れるうち、新しい発見もあるだろうし、徐々に自分の好みも明確になり自分と家族にとって「いい家」をイメージできるようになるだろう。

ここで気をつけて欲しいのは、優れた住宅も必ず見ていただきたい。住宅雑誌の中にはタイアップ記事、いわゆる広告費さえ払えば、どんなに目を覆いたくなる住宅でも掲載している地方新聞、地域情報誌、タウン誌を発行している会社が発刊する分厚くとも、お値段手頃な住宅誌雑誌だけを見ていてはいけない。

同じく住宅の見学も近くの住宅展示場ばかりを巡っていてはいけません。
また、近年は住宅にも時代に合わせた流行があるようで、住宅会社のキャッチコピーにトレンドのキーワードを使っている会社は、単に時代に流されているように見受けられ、はっきりとした住宅に対するポリシーがなく、ただ売れれば良いと考えている会社である可能性が高く要注意だ。

また、住宅展示場は金額構わず、フルスペックの住宅である、と断言してもよく、住宅展示場の住宅を見学した場合、必ず金額の確認をしておくこと!

ただし住宅展示場の物件を見学に行くと、ひつこい営業につけまわされるリスクもあるので、住所氏名を伝えなければ見学させてもらえない住宅会社は最初から避けなければならない。

「いい家」を手に入れる第一歩として、書店で住宅雑誌を立ち読みすることをお勧めする。懐に余裕があれば、昨今の雑誌社は紙離れでどこも経営が苦しいようなので手当たり次第に購入いただければ、ありがたい。

神田 古本市

目利きになる住宅雑誌はこの雑誌

住宅系雑誌(馴染み深い住宅作品)
雑誌名 出版社 参考価格
チルチンびと 風土社 ¥980
住む 農山漁村文化協会 ¥1,257

建築家系雑誌(個性的住宅作品)
雑誌名 出版社 参考価格
CasaBRUTUS(カーサブルータス)マガジンハウス ¥980
ELL•DECO(エル・デコ)ハースト婦人画報社 ¥1,800
モダンリビング ハースト婦人画報社 ¥1,800
I’m home(アイムホーム)商店建築社 ¥1,894
SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)扶桑社 ¥1,280
新建築住宅特集 新建築社 ¥2,420
LiVES(ライブス) 第一プログレス ¥1,010
CONFORUT(コンフォルト)建築資料研究社 ¥1,980
住宅建築 建築資料研究社 ¥2,640

時代に残る著名な建築家

旧井上房一郎邸
高崎市「旧井上房一郎邸」

数多くの住宅を設計した著名な建築家を紹介します。
残念ながら、その作品は住宅であることから簡単に見学することは出来ませんが、著名な建築家の作品だからこそWEBで見ることが可能です。
中には取り壊しの難を逃れ、大切に保存されている作品もあるので、もし近くに存在したり、旅行で近くに行くようであれば、是非に見学されることをお勧めします。

藤井厚二 1888年12月8日 – 1938年7月17日
アントニンレーモンド 1888年5月10日 – 1976年10月25日
吉田五十八 1894年12月19日 – 1974年3月24日
前川國男 1905年5月14日 – 1986年6月26日
吉村順三 1908年9月7日 – 1997年4月11日
清家 清 1918年12月13日 – 2005年4月8日
林 雅子 1928年7月11日 – 2001年1月9日
吉田圭二 1930年9月16日 – 2015年12月9日
宮脇 檀 1936年2月16日 – 1998年10月21日
小井田康和        2006年

最後に一言

住宅の内覧会やモデルハウス、あるいは友人知人のお宅に訪れたとき、いつのまにか腰掛けていたり、何か気持ちの良い場所に座り込んでいたとしたら、その家があなたにとって「いい家」ではないでしょうか。

そんな住宅を見つけたなら、新築計画を進めてもいいのでは?

もう一つ大切なこと

住宅設計に不慣れであると「夏に設計した家は夏の家になり、冬に設計すると冬の家になる」と言われます。

長い年月を暮らし続ける住宅の設計は、今の暮らしだけを考えて設計してはいけません。
住宅は今だけ「いい家」では困ります。10年後、20年後さらにその未来をも考えた設計をしなければ「本当にいい家」だとは言えないのではないでしょうか。

住宅設計を多く手がけた吉田圭二氏は「無限定空間」と名付け、現代の壁で仕切られた個々の部屋という概念から、住宅内の空間を限定せず暮らしの変化とともに住空間も自由に変化させる住宅を提案した。

間仕切壁が無い家と言えば、フリップジョンソンの「ガラスの家」や菊竹清訓の「スカイハウス」が頭に浮かぶが、普段の暮らしの中で間仕切壁がなければ暮らしにくいことは明白である。

長い年月の中で、私達の暮らしおよび家族構成やご自身の体力的な面でも変化がある。
「いい家」にはこの暮らしの変化にも柔軟に対応できる、間取りの可変性を求め、暮らしに変化があった場合、速やかに部屋の用途を変行できる仕掛けおよび、対策を施しておく赤系をしなければならない。

家づくり相談窓口

「無垢のまな板選び」奮戦記

脱プラスチック2【まな板】

なるべくプラスチック製品を避けてきた我が家の台所を見回すと、意外にもプラスチック製品が結構多いことに気がつく。三角コーナーや水切りかご、スポンジ受け、ゴミ箱、保存容器などなどに加え、我が家では黒いプラスチック製のまな板を愛用している。

「これはいかん!まな板は昔からネコ柳製に決まっているではないかっ!」
思い立ったら居ても立ってもいられないこの性格、早々に「家具・インテリア量販店」へと足を運び、商品棚を覗き込むと木製のまな板が並んでいる。

イチョウのまな板
“「無垢のまな板選び」奮戦記” の続きを読む

浴室のカビ対策

浴室のカビ対策

もくじ

厄介な浴室のカビ
カビ数を減らす
浴室のカビ種
浴室のカビ対策
 ・カビ繁殖地とアジト
 ・目地や扉のパッキン
 ・アメニティーと備品
カビのアジト(巣窟)
 ・浴室扉の換気口・通気口
 ・排水口
 ・天井扇
 ・鏡の裏
 ・カウンターや収納の裏と底
 ・照明器具
編集後記


厄介な浴室のカビ

浴室は、高温多湿で部屋全体に石鹸カスや垢といったカビの好物が付着し、カビにとってはローマ時代の宴会か、清朝時代から始まったといわれる中国の満漢全席、酒池肉林の世界に違いない。

真菌学の先生は、こんな楽園からカビを追い出すために、入浴後すぐに換気するとか、壁や天井に付着した水分を拭き取る、さらに石鹸カスや垢などの汚れを徹底的に落とすなど、入浴毎の大掃除を真菌学の立場で推奨する。

真菌学の立場は尊重しなければならないが、暮らしに大きな負担を強いる毎回の浴室大掃除は、建築の立場から考えると心が痛む。

毎日、浴室の大掃除ができますか?私にはとても無理な注文。仕事で疲れて帰宅し、ほっと一息、

「さ〜っ!湯上がりの麦酒・ビール・Beer!」
「うー腹へった、さっとシャワーを浴び晩飯つくるか」
「家事は全て片付けた!これからが癒しの時間」

なんて時に浴室の大掃除なんかできますかっ!

かといって、浴室がカビに汚染されていれば、身体を綺麗にしているのか、もしかしたら、カビを身体中にまぶしに入っているのか大きな疑問が残る。

「浴室の掃除は、三度の飯より好きだ!」
「毎日、浴室掃除をしなければ生きていけない!」
「人生は、浴室の掃除にあり!」

などと、本心から掃除好きで、頼もしい方は意外と少なく、

「家庭平和のため好きなふりをしておる」
「家族の健康のためやむなく」
「好きではないが、・・・(とても書けない)」

と、いうところが本音ではないだろうか。

かといって、カビ取り剤を多用すれば、健康被害をもたらせる可能性が高くなる。仮にカビと人間が、防カビ剤を介して戦ったとすれば、カビの圧勝は火を見るより明らか、カビは数年で薬剤に対し耐性を持ってしまうからだ。その間に人間は、薬剤による健康被害を発症するに違いない。

薬剤メーカーが「パワーアップ」とか「さらに強力」「最強の」などと強調するのは、カビの耐性を見抜き、使用者の健康よりさらなる売り上げ向上のためではないだろうかと疑いたくもなる。

カビ数を減らす

カビが発生するのは、カビがそこにあるからで、大量に繁殖するのは、そこに常在するカビや胞子が豊富に存在するからである。

しかし、カビは、航空機のタンク内やカメラのレンズ内にも存在するように、この世の中、カビがない場所などあるわけもなく、中でも浴室はカビにとって楽園であることに間違いはないのだが、問題はその量であり、既存のカビが多ければ多いほどカビの繁殖量は多くなるため、浴室に既存するカビの量を減らさなければならない。

浴室のカビで困っている方の中には、天井はアルコールで拭き、入浴後の掃除や換気にも気を使っているにもかかわらず、いつの間にかアメニティボトルの底や水栓の周りにヌメッとした赤カビや、排水口や目地部分にはアメーバらしき黒カビは繁殖していることはないだろうか。

今はピカピカのお風呂、カビなんて無縁などと油断していても、カビは必ずお風呂に存在し、いつの間にか大繁殖の被害に見舞われるかもしれず、決して日頃の点検を疎かにしてはいけない。

カビ数を減らす効果は、例えば、キャベツやレタスなど結球野菜の茎が茶色に変色することに似ている。結球野菜の腐りは、腐食させる細菌が多く付着しているからであり、腐朽菌を極力減らしておけば、腐朽を遅らせることができる。

結球野菜を長持ちさせるには、腐朽菌を減らしておくことだ。買ってきた野菜の人が触ったと思われる葉は取り去り、茎部分は包丁で切り落とした後、水道水でよく洗う。水道水には残留塩素が含まれてるから、殺菌効果も期待できるのだ。人によれば残留塩素が害を及ぼす場合もあるが、野菜の洗浄には役立つ。水道水で十分に洗った野菜は、新しい袋に入れ冷蔵庫に保存する。

私の経験上1〜2回では、細菌が十分に洗い流せていないようで茶色く変色するが、大体3回ほど繰り返し、毎回新しい袋に保存すれば、その後は1週間位、茎が変色することは皆無である。ちなみに冷蔵庫は「ion Plasmacluster」

浴室のカビ種

浴室に繁殖するといわれる主なカビは、下記の通り。

■ アルテルナリア|俗名:ススカビ
 色:黒褐色
■ フザリウム|俗名:アカカビ 
 色:灰黄色、橙色、赤橙色、紫赤色、ピンク色、淡クリーム色、ライラック色
■ アウレオバシジウム|俗名:黒色酵母/黒酵母
 色:淡桃色(若い集落)~黒褐色(成熟)
■ クラドスポリウム|俗名:クロカビ/クロカワカビ
 色:濃オリーブ色、黒色
■ ケトミウム|俗名:ケタマカビ
 色:オリーブ褐色~暗褐色
■ ペニシリウム|俗名:アオカビ
 色:表面|青灰緑色、鈍緑色~青緑色、暗緑色、暗黄緑色、黄色、白

カビの特性をより詳しく知りたい方はこちらへ
住環境アレルゲン|カビ・真菌

よく見かけるのは、排水溝まわりやシーリング、タイル目地などに繁殖している黒いカビ、水栓や浴槽上部に広がる艶やかなピンク色や、シャンプーなどのボトル底部の妖しいヌメリではないだろうか。

浴室のカビ対策

浴室のカビ対策は下記の2点。

1)浴室内にある不要なものを全て取り除く
2)カビの巣窟となっている場所を探し出す

カビ繁殖地とアジト

浴室のカビ繁殖地とアジト

浴室内のカビ繁殖地は、目地や扉のパッキン、浴槽上部など簡単に目視できる場所と、シャンプーボトルの底や椅子、風呂桶など持ち上げて目視できる所に加え、ここが最も見逃しがちなのだが、取り外し可能な鏡や棚、排水口内部、換気扇内部そして、扉に付いている吸気ガラリ内部などである。これらは普段、直接見ることができない場所で、まさにカビのアジトとして最適なねぐらであり、常に検閲が必要な場所である。

目地や扉のパッキン

カビで黒ずんだ目地や扉のパッキン、浴槽などの上面にロゼワインでもこぼしたかと思われる淡いピンク色の滴などは、気付きやすく、その気になれば直ぐに除去が可能だ。除去方法は、カビが付着した素材により異なるのだが、タイル 目地やシーリング(コーキング)、ゴムパッキンのように内部まで浸透しているカビには、薬剤の使用が無難であろう。

タイル目地の場合、下手に表面を擦って除去すると、目地表面が荒れ余計にカビが付着しやすくなるため注意したい。シーリングであれば、防カビ性のある製品と打ち替える方法もあるが、ある程度トレーニングが必要であり、防カビ性のシーリング材といってもその性能保証には期限があると考えておく方が良い。カビ部分表面に打ち増しは厳禁、既存のシーリングは完全に取り除いてから打ち直す。

扉のパッキン部分も、カビが発生しやすい箇所である。パッキンの形状は、幾種類かあるので、目に見えない部分や裏面などもよく注意して見る必要がある。カビの除去は、パッキンの交換もしくは、薬剤使用になる。薬剤を使用する場合は、目線の上にまで散布する必要があるので、顔や目に無カビ剤が入らないように防護眼鏡やマスク、手袋などで十分に防護する必要がある。また、防カビ剤は飛散しにくい泡タイプが、扱いやすいようだ。

アメニティーと備品は脱衣室に置く

浴室のカビ対策「不要なグッズは出す」

浴室内にある不要なものとはまず、シャンプーやボディソープなどのアメニティー類、そしてスポンジ、桶、椅子などの備品類などである。

そんな無茶な!アメニティーグッズや椅子がないと風呂に入れないと仰る方もいるでしょう。いやいや、お風呂に入る時だけ持ち込み、普段は浴室から出しておくことが必要なのです。そうすれば、浴室内の棚やフックなど不要な備品も少なくなり、カビが繁殖する場所を減らすことにもつながる。

また、浴室の備品が多くあると、掃除に手間取りとても面倒である。ある家庭の浴室を見に行くと、ボトルが10本以上置いてあり???、家族それぞれ、特にお年頃のお嬢様方には、香りの好みが違うようでマイボトルを置いてあるとのことで、浴室はボトルで埋まり、私には、カビを養殖しているのか、養っているとしか見えないお宅もあった。

ボトルの底部分が、なんだかヌルヌルしていることに気づく方は多いだろう、そのヌルヌルは、カビである可能性も高く、ボトルをプラスチック性の小物入れに入れてあれば、ボトル底に加えプラスチック容器にもカビが繁殖し、カビの量は2倍にも3倍にもなる。

桶や椅子の底部分や浴槽の蓋が黒くなっていれば、それは間違いなくカビです。すぐに取り除き、浴室から出し乾かす。
基本的に、浴室内にアメニティー類を置きっぱなしにしてはいけません。浴室出入り口近くにボトル類が乾きやすいよう、メッシュ棚あるいはワイヤーラックを設置し、アメニティーや備品類を置くようにする。

カビのアジト(巣窟)

浴室カビのアジト

カビのアジト(巣窟)とは、目には見えないが、カビが大量に発生している場所で、一般的な浴室では、浴室戸の換気口やスリット、天井換気扇内部、鏡の裏面、排水口などが怪しく、定期的な点検が必要な箇所である。

中でも、浴室戸の換気口やスリット部分には、埃の中にカビが大量に発生している場合が多く最重要かつ要注意箇所だ。
浴室戸の換気ガラリ内部に埃などが溜まり、そこにカビが繁殖していれば間違いなくカビのアジトとなっている可能性は高く徹底的なガサ入れ、いや除去が必要となる。

浴室戸の換気口・通気口

名称としては「換気口」「通気口」の他「通風口」「吸気口」「ガラリ」などと呼ばれ、基本的には、扉や窓を締め切っていても、換気が出来るように取り付けてある。扉は衣服を脱ぐ洗面脱衣室側にあり埃が舞うところ、この換気口にはホコリが付着しやすく、適度な湿気がカビの発生に適した場所となるため、定期的に清掃が欠かせない場所。最近は埃が溜まりやすい横型より、埃が溜まりにくい縦型の通気口が主流になりつつあるようだ。

浴室戸の種類

浴室戸の種類

浴室戸の種類は、基本的に「引き戸」「片開き戸」「折れ戸」の3種類。素材はアルミ製もしくは樹脂製である。いずれも取り外して扉の底まで掃除することは可能ではあるが、「引き戸」「折れ戸」は取り扱い説明書に従い簡単に撮り外しが可能である一方、「片開き戸」は蝶番の種類によりビスを外す必要があり、種類によっては枠内部に固定される補強金具が落下し、再度の固定ができなくなる恐れもあるので、取り外し時には注意が必要というより専門家に依頼すべき。

メンテナンスの面からも、浴室の扉に「片開き戸(片開きドア)」は不向きと考えた方が良いだろう。

換気口・通風口の種類

浴室換気口・浴室通風口の種類

浴室戸に付く横型換気口の種類は、基本的に「片流れ」「山形」「枠付けスリット」の3種類。

現在の主流である「片流れ」は、ブラシやヘラなどを使い掃除もしやすく、定期的な点検を心がけたい。またカビが発生しても換気口自体を取り外し洗い流せる製品も多いようだ。

「山形」は少々年代が古いようで、掃除は面倒。掃除機やブラシ必要であればシャワーなどで埃を取り去り、カビが付着していたならアルコール、防カビ材などを噴霧し、竹串にペーパータオルなどを巻き付け擦り付けるように汚れを取り除く。

「枠付けスリット」は上方にあるため埃の付着は少ないと考えられるが、カビが発生していると頭上からカビ胞子を被る恐れが大きく、日頃の点検と掃除は欠かせない。もしカビが発生しているようであれば、アルコールなどを含ませたキッチンペーパーなどで、胞子が飛散しないよう静かに拭き取り掃除をしていただきたい。

浴室戸の掃除道具

浴室カビの掃除「換気口・通気口」掃除道具

換気口にカビが発生していた場合の掃除道具は、掃除機用のブラシやシャワー、扉を傷つけないようにプラスチックのヘラやブラシと、アルコールを含ませ拭き取るための、竹串や割り箸などにキッチンペーパーを巻き付け、テープで固定したペーパーブラシを作ると便利。

排水口

垢や髪の毛などがこびりつき、あまりにも汚れていると思わず目を背けたくなる排水口には、黒カビが繁殖しやすい。浴室の中でも特に汚れやすい所ではあるが、一度きれいに掃除を行えば、その後、湯上り前に軽くスポンジで擦っておくだけで、綺麗な状態を保つことができるので、是非実行していただきたい。

天井扇

いっそのこと、天井扇なんてつけない方が良いのでは?と思うくらい厄介ではある。天井扇本体はまだしも、外部へ送風するダクトは、湿気を多く含んだ空気が、ダクト内部で結露するであろうし、多少なろうとも埃が溜まっていれば、カビにとって楽園のようなもの。ダクト内のカビは、換気扇を回していれば室内側への飛散は少ないと考えていますが、ダクト内部の掃除は難しので、専門業社に頼らざるを得ない。

浴室カビの掃除「天井扇」

換気扇の掃除は、それぞれの取扱説明書に従い、安全に十分な配慮をした上で、掃除をしていただきたい。ただし、高所にある換気扇を取り外す際に、脚立を使うなら滑りにくい製品か、脚立の下にバスマットやバスタオルを敷くなど安全に注意し、カビ胞子を吸い込まないよう頭巾やマスク、メガネは必需品。

カビ対策には天井扇よりダクト不要の壁付けのプロペラファンタイプを選びたい所でもあるが、機密性が天井扇よりも悪く、強風の時には外気が入り込みやすい欠点もある。

鏡の裏

浴室カビの掃除「鏡の外し方」

4個の金物で取り付けられた鏡は、取り外し可能な鏡であり、裏側には3mmほどの隙間が空いているため、付着した垢や石鹸カスにカビが大繁殖している可能性がある。

鏡は長穴があいた金具で固定されているので、上方の留金具2個を上方向あるいは左右方向にスライドさせ、鏡の下部分に爪を描けるようにしてしっかり持ち、反対の手を鏡の横を支え、少し上に持ち上げるようにすると取り外すことができる。取り外した鏡は、折り畳んだタオルなどを濡らして床に敷き、その上に壁面に立てかけるように置けば安定している。鏡裏と鏡が付いていた壁面を丁寧に掃除をし、取り外した鏡を元に戻し、金具を元の位置にスライドさせ固定すれば作業は終了!

ユニットバスの中には、最初から本体に固定されている鏡であれば裏側の掃除は不要ですし、今回紹介した金具以外の製品も販売されている。取り外し方が不明な場合には、取扱説明書あるいは、メーカーにお問い合わせください。

取り付け金物が手で動かないようであれば、細いマイナスドライバーを金具と鏡小口の間に静か位差し込み、ドライバーの持ち手側を鏡の方へ押し付けるように押し、スライドさせる。

注 意

鏡を取り外す場合は、決して入浴時に裸で行ってはいけません。そりゃ入浴のついでに鏡裏も一緒に掃除をしたくなる気持ちは、よく分かります。しかし、濡れている鏡は滑りやすく間違って落として割れてしまったら、もし身体を切ってしまったら、そしてもし大静脈でも切ってしまっら、裸のまま救急車に載せられ、鏡の掃除どころか人生の大掃除をすることになるかもしれない。

浴室鏡の掃除は、必ず着衣にて浴室用のスリッパ、あるいは厚手の靴下を履き、細心の注意を払っていただきたい。

カウンターや収納棚の裏と底

浴室内に備え付けてあると便利なカウンターや収納棚なども、カビが発生しやすい場所である。特に、普段目につかない裏側やボトルなどの底部分は要注意。カウンターの裏部分などは凹凸も多く、鏡やスマートフォンなどを使い念入りな点検が必要。

照明器具

独立して取り付けられることが多い照明器具の周りには、カビの発生が少ない傾向にある。ただし、照明上部にホコリなどが溜まっていると、カビが発生していることもあるので、雑巾やペーパータオルで拭いておきたい。もし、カビの発生があれば、アルコールなどを吹き付け、念入りに拭いておく。

器具内部にカビが発生していたなら、照明カバーを取り外し内部の掃除をする。浴室に取り付けられる防水型の照明カバーの多くは、反時計方向に回すと取り外しが可能。

エプロン裏

ユニットバスの排水方法の中には、浴槽下に排水を床に垂れ流す種類もあります。この種の浴槽下には、垢や石鹸カスが付着しカビが大量発生している可能性が高く、定期的に掃除をすることをお勧めします。エプロンの外し方は、基本的にエプロン下部を持ち上げるように手前に引くと外せますが、詳細は各メーカーにより異なりますので、取扱説明書を参考にして下さい。

長年点検していないなら、その汚れに驚くはず。もし、内部の激汚れに手に負えないと感じるなら、専門家に依頼。


編集後記

どんなに毎日掃除をしていてもカビが発生するなら、不要なものを取り除き、カビの巣窟をなくした上で、換気や掃除に気を配ることだ。

ユニットバスの掃除は、取扱説明書に記載されている方法に従い丁寧に掃除をしていただきたい。造作の浴室にカビが大量発生していたなら、使用している素材によっても対策は変わるので、やはり住宅会社や専門業者に相談する。

新築計画をしている方は、浴室はとにかくシンプルに造ることに限ります。

また、最近市販されるユニットバスは、掃除がしやすくなっている製品もあるようだが、余計な棚やカウンターが付いていれば、カビの温床になります。天井もフラットな方が掃除も楽ですし、カビも繁殖しにくい。

造作の浴室であれば、カビが発生しにくく掃除がしやすい素材を選び、木製建具には「ガラリ」はつけない方が良い、掃除が面倒なガラリをつけなくとも、建具枠と縦框の間に隙間を作っておけば、十分に換気機能を果たすことができる。

見た目や機能も大切であるが、住宅には、掃除のしやすさも重要な性能の一つである。
一体、誰が掃除をするのですか?


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欠陥住宅

初投稿2019.9.10/更新2019.9.17

欠陥住宅

同じ業種に生きる者として恥ずかしい限りだが「欠陥住宅」の被害がなくならない。
今朝も宮崎県で発生した欠陥住宅について報道されている。 詳細な部分は不明だが建築規模は、約40坪、鉄筋コンクリート屋上付き2階建、住宅価格は1,850万円とのこと。完成後半年以内の雨漏りや室内壁、床下には大量のカビが発生し、内装仕上げ材はすでに剥離している、しかも建築会社は音信不通状態にあるようだ。

映像から判断すると内装壁、天井仕上げは、コンクリートに直接塗料を吹き付け、床は根太組みにフロアーパネル仕上げしている様子で壁、床ともに断熱材は入っていない様子。鉄筋コンクリート造の場合は、内断熱より外断熱の方が効率が良いとされ、もしかすると外断熱かもしれないが、カビの発生状況から断熱材は入っていないだろう。

現時点で、非常に大きな精神的苦痛を受けている被害に遭われた方には申し訳ないが、もう少し住宅事情に詳しければ、このような被害を避けられたに違いない。

そもそも、延べ床面積40坪の鉄筋コンクリート造で建築価格が1,850万円とすると坪単価は約45万円となり、鉄筋コンクリート造としては異常に安く不適切な金額といってもよい。国土交通省が発表している一戸建て注文住宅の全国平均坪単価は、約64万円である。これは構造を問わない全国平均単価であり、鉄筋コンクリート造だけであれば、おおよそ96万円が平均単価である。

平成30年度 一戸建て持家住宅平均床面積・工事予算額・単価表

平成30年度 各工法の一戸建て持家住宅平均床面積・工事予算額・単価表
参考:政府統計「e-Stat」より作成

木質系のローコスト系住宅では「坪単価30万円」と大きく印刷された広告を目にすることがある。この「坪単価30万円の家」を実際に住宅会社に依頼しても、契約段階の見積金額を建築確認申請の延べ床面積で計算すると、おおよそ坪単価50万円から60万円になるはずだ。「坪単価30万円の家」だと信じている方には嘘をつかれたように感じるかもしれないが、簡単にそれを「虚偽の広告」と言い切れない部分もある。

広告の坪単価を表示している近くに小さく「施工面積」と書かれているはずである、「施工面積」とは、建築確認申請に記載する「延べ床面積」に加えて「庇」や「軒の出」「ウッドデッキ」「玄関ポーチの土間」「犬走り」など工事範囲全体の面積になり当然、床面積より広くなる。坪単価は「工事金額」を「面積」で割った金額になるので「述べ床面積」で割るよりより、一回りほど広くなる「施工面積」で割る方が坪単価は安くなる。
また「金額」も「工事金額」と「本体価格」の2種類あることに気をつけてほしい。ローコスト系の住宅会社は「本体価格」を使用している会社が多いようだ。

では、住宅の本体工事とは何か、現代社会で目にする製品価格の多くは「本体価格」で表示され、皆さんは違和感なく受け入れているだろう。例えば車であれば「車両本体価格」と表示され、この金額に諸費用や、お好みのオプションを付けると、その分高額になることを認識しているでしょう。工場で生産する車であれば「部品の金額」と「組み立て費用」これに「諸費用」を加えた金額を考慮し「車両本体価格」として表記されている。しかし、住宅の場合は、材料や製品など部品だけでは完成しません、現場で組み立て(建築)しなくてはならないのです。そうです!ローコスト系住宅会社の中には、車でいうところの組み立てに関する費用が含まれていない場合があります。要するに部品代だけの表示をしている場合があるのです。この本体価格に別途、確認申請や設計料などの諸費用に加えて、工事をする際に必要な足場代金をはじめとする仮説費用、また職人さんの費用、道路から建物までの上下水道や電気、ガスの引き込み費用、また最近は義務化している地盤調査費用なども別途料金として加算されます。

先に持家一戸建て注文住宅の全国平均単価が約65万円ですが、木造住宅に限ると約60万円です。私が知りうる限り、自然素材を多く使った木造注文住宅の平均価格でも「延べ床面積」で割ると、おおよそ60万円から70万円で合板や塩ビを極力使用せず、将来も廃棄物ではなく財産として残せる「自然素材の家」を新築できる。いや、長い目でメンテナンスコストも考えると、ローコスト住宅よりもずっと安く、経済的に賢い家が建つ。ローコスト系の住宅を新築し「安く新築できた」と満足している方には申し訳ないが、あと坪単価で10万円ほどあれば、自然素材をふんだんに使用した注文住宅を手に入れることができたはず。

それも坪単価で考えた場合です。

住宅会社の広告を見ていると、下手な設計士が考えた間取りには不要な箇所が多く、ただ床面積が広くなっているだけで、素人でも考えられるような間取りも多く見かけます。設計力がある工務店や住宅会社であれば、同じ工事金額で暮らしやすく、無駄のない間取りを含めた設計を提案するでしょうから、住宅の総工事金額は自然素材を使用した住宅でも、ローコスト系の住宅でも、あまり変わらないでしょう。工事金額は決して坪単価で考えてはいけません、とにかく住宅会社に問い合わせるときには、希望床面積と希望総工事費を聞いてください。

さて、問題の欠陥住宅ですが、当該住宅会社は、建築費の安さも売りの一つとしていた様子で、堂々と「一般的な建築費の半額で施工する」とホームページにも書かいていたようです。確かに一般的な鉄筋コンクリートの坪単価が、おおよそ90万円に対しこの欠陥住宅の坪単価は約45万円ですから、広告に嘘はなかったようです。ただ、工事に偽りがあったことは許しがたいことです。

予算的な話をすると、全国規模の大手ハウスメーカーを別にして、一般的な地域の住宅会社の粗利は、おおよそ20%から35%、ただ20%ほどの粗利であれば会社経営は不安定な経営状態にあると推測され、安定的な経営を継続するには、最適でも25%は確保しなければ安定的な経営を望めない住宅会社の実情も皆様には知っていただきたい。

住宅会社は、大きな金額を扱うので、一般的には利益も大きいなどを思われがちですが、決してそのようなことはありません。住宅会社は、粗利5%の違いでも経営状態に大きな差を生み出す経営体質であるにも関わらず、一般的な金額の半額で工事を請け負うことができるとすれば、大量に安く材料を仕入れることが可能なのか、特殊な技術を持っている、あるいは非常に安い労働力を使うなどが考えられるが、いずれも国内の建築業界では考え難い。

材料の仕入れといっても、独占禁止法は別にして、建築業界の仕入れ材は、そのほとんどの材料で同一規格であれば、コンクリートや鉄筋、内装材、配管材など横並びの金額設定になっているのが現実で、一般的な価格の半額で材料を仕入れすることは難しい。
それでも、住宅会社がなんとか採算を得ようとすれば悪質な粗悪品の使用や、手抜き工事を行うことになる。過去には「シャブコン」が大きな問題となり、マスコミに連日取り上げられた。「シャブコン」とは、身体を蝕む麻薬の方ではなく、現場で生コン車に水を注入した水っぽく建物を蝕むシャブシャブのコンクリートをいう、もちろん強度が極端に劣化するため御法度であり、いくら会社の利益のためとはいえ、決して許されない社会に対する背信行為である。

一般的な住宅工事であれば、最も簡単に予算を減額するには、材料の仕様変更や粗悪品を使用するより、工事そのものを無くすることだ。断熱工事や防水工事、内装工事、設備工事など主要構造体以外の工事は、建築基準法に関係なく削ったり、どのような材料を仕様してもよく、この行為は、いわば住宅会社の信用問題であり、違法ではない。

皆さんは建築基準法といえば何かしら厳格な規定があるとお思いかもしれないが、現実は、かなり漠然とした法規であるため、建築基準法に適合していれば、なんの心配もなく素晴らしい住宅が完成するなどと考えていると、とんだ欠陥住宅をつかまされてしまうかもしれません。

正直に言って、雨漏りなどが発生すれば欠陥住宅のレッテルが貼られるかも知れない。建築界の巨匠である丹下健三氏が設計した建物は雨漏りが多く、しまいに氏は「建築は、自然に逆らって存在するものであり、決して自然に逆らうことはできない」などという、建築界にいるものには、心強い名言を残した・・・?とも言われる逸話があるくらいだ。
決して発生させてはいけない雨漏りだが、その多くは、住宅会社の過失によるもので、施工ミスの一つであり、もし発生すれば住宅会社は、早々に補修に駆けつけるであろう。

しかし、今回の宮崎県で発生した欠陥住宅は、テレビ画面で見ただけなので予測ではあるが、かなり悪質で意図的に欠陥住宅になりうることを承知したうえで計画したように見受けられる。欠陥住宅になるだろうことを、十分予測していたのではないだろうか。多分、計画段階で誰か第三者の専門家に設計図および仕様書、見積書を見せていれば計画段階でも簡単に欠陥住宅であることが見抜けたに違いない。

あくまでも欠陥住宅は、設計者や施工者の意識の低さや無責任な行為であり、同じ業界人として無念な話であり、非常に憤りを感じ得ないが、皆様も肝に命じていただきたいことが一つある、欠陥住宅は単に大きなゴミでしかない、住宅建築において「安物買いの銭失い」とは、本当によく的を得た言葉で、その通りなのだ。欠陥住宅ばかりではなく、安く建てた家は、将来ゴミにしかならないのが現実です。もう少し視線を変え色々な住宅会社の中には、将来財産となり得る住宅を建築している会社も多くあることだけは、忘れないでほしい。

医療関係では、セカンドオピニオンに相談することが普通になりつつあるように、ご自身とお家族の人生を大きく左右する住宅の新築、増改築工事を行うときにもセカンドオピニオンに設計図や工事内容、使用素材なども気軽に相談することが必要ではないでしょうか。

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