新型コロナウイルス〈マスク対策〉


【毎日更新】新型コロナウイルス国内感染者数・人口比率


マスク対策

掲載:令和2年(2020)3月25日 更新:令和2年4月8日

もくじ

マスク不足とその対策
・マスク不足はいつまで続くのか
・一時的にマスクは等製品とする
本当にマスクを必要とする人
・マスクの効果
マスクが必需品である方
・必要枚数の個人的推計の詳細
・医療従事者
・持病・免疫力低下者
・妊婦の方
・高齢者
・着用義務就労者
感染予防
・感染経路が不明な感染者
・店舗側の対策
編集後記

マスク不足とその対策

【マスク不足はいつまで続くか】

マスク問題について、政府が「月間6億枚の製造の目処がついた」と公式に見解を示し、マスク工業会は、週に1億枚以上生産していると公表しているが、できれば布製マスクが何枚、使い捨てマスクは何枚、サージカルマスク何枚と、その枚数の詳細を知りたい。

それにより、私たちはそれぞれ現在持っているマスクの使用を控えたり、自作のマスクを用意するなどの対策を講じることが可能となる。

たとえ月産6億枚のマスクを製造したとしても、国民一人におおよそ月に6枚しか配布されないことは、少し考えればわかることであり、何ヶ月経っても、マスク不足は解消しない。逆にいえば国民全員にマスクを行き渡らせるには、25〜30億枚を調達しなければならない。

一時的にマスクは統制品とする

たとえマスクを月間10億枚製造・調達できたとしても、現状のように無計画に市中に垂れ流すように流通させていれば、いつまで経ってもマスク不足は解消しないことは、明らかであるどころか、下手な期待感からマスク購入のため長い行列(人口密集地)ができたり、ドラッグストア店員に必要もない精神的負担を与え、マスクの入手に不均衡を生み出す。

また、本当にマスクを必要とする方々に届かない事態を生み出す危険性が、とても高くなっていると考えられる。そして本当に必要とする人に届けるには、一時的に統制品としてマスクの流通を制限するしかないだろう。

本当に必要とする人

マスクの効果

マスクには感染予防の効果はあまりないと、WHOを始めとして医療専門家が指摘しています。しかし、国内において小さな頃から風邪の予防にマスクをしてきた国民性から、この新型コロナウイルスへの感染予防に、マスクを離せない心理も十分に理解できるし、しなければ不安だと感じる方も多いだろう。

しかし、新型コロナウイルス対策だけではなく、本当にマスクをしなければ、命が危険にさらされる方もいることを知っていただきたい。そして日本国内だけでなく、世界中でマスク不足が深刻化している現状では、マスク供給先に優先順位をつける必要がある。

マスクが必需品である方

本当にマスクを必要とする方々は、下記の通りではないかとリストアップした。もし他にも必要とする方がいらっしゃたら、ご連絡ください。加えて、月間の必要枚数の推計も試算してみた。

月間必要総数:6億9460万枚
・医療従事者:約2億3000万枚
・持病・免疫力低下者:約2億8500万枚/月
・妊婦の方:約1,660万枚/月
・高齢者:約1億4100万枚/月
・着用義務就労者:約2,200万枚/月

推計の詳細は下記に記すが、本当に今マスクを必要とする方々に届けるだけで、月間約7億枚のマスクが必要となる計算。国民全体にマスクが行き渡るには、おおよそ月産20億枚必要なのではないだろうか。

月産20億枚生産可能な見通しが付くまで、マスクの使用方法は各自で考えなければならない。

マスクの生産・輸入の確保は、国が行うものとして、私たちは、本当にマスクを必要としている方々に届けらるように冷静な行動が求められると同時に、マスクは暫く市中の物販店で入手できない覚悟をしなければならない。

必要枚数の個人的推計の詳細

【 医療従事者 】

現在、医療機関のマスク在庫数は不明ではあるが、全医療機関の在庫が尽きているようであれば、緊急的な措置として、その必要数を超えるくらいの十分な枚数が必要。

厚労省のホームページによると、平成28年の医師、歯科医師、薬剤師の総計は約65万人、保険師、助産師、看護師、准看護師の総計は166万人で合計231万人になる。医療従事者が1日に何回マスクの交換を必要とするかは不明であるが、1日4枚必要として算出。

医療関係者必要枚数
231万人×4枚/日×25日=2億3100万枚

ただし、上記の医療関係従事者には、マスクを必要とするであろう理学療法士や作業療法士、歯科衛生士、約12万人含まれておらず、これらの人数を合計すると、配布初期段階で約12万人x4枚/日x25日=1200万枚を追加しなければならない。

一般社団法人衛生用品工業会のデータから、医療用マスクの年間生産・輸入数は2億5900万枚、月間では約2,200万枚を生産・供給していれば、マスク不足は生じないようであるようにも思えるが、医療関係者にとって、マスクは命を守る必需品。使い捨ての医療用マスクは、最優先に医療関係者が必要とするに余るくらいの枚数を確保しなければならない。

【 持病・免疫力低下者 】

マスク不足で悩んでいる方は多い。医療従事者だけでなく花粉症や糖尿病、呼吸器疾患などの持病がある方、病気や薬の副作用で免疫力が低下している方、あるいは免疫力が低下している家族を看護している方、肺炎を患うと重症化の可能性が高いと指摘される妊婦の方、さらに加齢により免疫力が低下している高齢者、これらの方々には、ある意味マスク不足は命に関わる問題になる可能性がある。

空気中には新型コロナウイルスばかりではなく、様々な細菌やウイルスが存在するため、このような方々には、優先的にマスクが配布されなければならない。あまりにも新型コロナウイルスばかりが取り上げられる昨今、マスクの不足で新型コロナウイルス以外の細菌やウイルスで死者が増加することも決して許されるものではない。

医療用マスクは、製造後にピンポイントで医療従事者へマスクを供給できるだろうが、疾患や免疫不全、妊娠中の方々へなど、本当にマスクを必要としている方々へ届けるには、一時的にマスクを薬同等の扱いとして診察または医師の証明書を提示し、医院や処方箋薬局で必要量を購入できる対策を講じる必要があるのではないだろうか。

マスクを必要とする患者数の試算

患者総数:2,012.5万人
・結核:1.8万人
・ウイルス性肝炎:15.6万人
・悪性新生物〈腫瘍〉:178.2万人
・血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害:11.7万人(※1)
・糖尿病:328.9万人
・高血圧疾患:993.7万人
・心疾患(高血圧症除く):173.2万人
・脳血管疾患:111.5万人
・慢性閉塞性肺疾患:22.0万人
・喘息:111.7万人
・肝疾患:24.9万人
・慢性腎疾患:39.3万人

参考 厚生労働省「推計患者数(平成29年10月患者調査)」表7 主な傷病の総患者数
※1 同上 表2 傷病分類別にみた施設の種類別推計患者数より試算

入院患者約131.3万人は、コントロール下にあると思われるので、患者総数より減じると、免疫力が低下していると思われる方の総数は約1900万人と推計し、月平均枚数を15枚としました。

持病・免疫力低下者必要枚数
1900万人×15枚/月=2億8,500万枚/月

【 妊婦の方 】

厚生労働省によると、令和元年(2019)の出世数は急減し、統計開始以来初めて90万人を割り、86万4千人との推計値を発表している。現在妊娠中の方を推計するにあたり、単純に平均妊娠期間を年間日数で除し試算した。

いつの世でも子は国の宝である、新型コロナウイルスばかりではなく、様々な不安や心配を感じている方も多いだろう。一つでもその不安や心配を取り去ることが、社会全員としての責務だ。

妊婦必要枚数
86.4万人×280日/365日=約66.3万人
約66.3万人×25枚/月=1,657.5万枚/月

【 高齢者 】

新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすい高齢者の人数を推計するにあたり、人数が重複することを避けるため、高齢者のうち入院患者数及び免疫力が低下している可能性がある外来患者数を試算し、高齢者全員の人数より減じる。

高齢者(65歳以上)3461万人(※3)
・外来患者数:約1900万人
・高齢外来患者数:3644.8/7191.0×100=50.68%(※4)
・1900万人x0.5068=962.92万人
・通院していない高齢者数:937.08万人

※3:総務省人口統計
※4:厚生労働省「推計患者数(平成29年10月患者調査)」表1年齢階級別にみた施設の種類別推計患者数

高齢者必要枚数
940万人x15枚/月=1億4100万枚/月

【 着用義務就労者 】

今回のマスク不足で、産業用防じんマスクを購入された方もいるようです。

産業用防じんマスクは、DIY店や作業用品店で気軽に購入できますが、マスクがなければ仕事ができない職種があることを知ってください。

粉塵等が舞う中で作業をする方は、労働基準監督署よりマスクの着用が義務付けられており、産業用防じんマスクは作業従事者の命と健康を守る必需品です。

産業用マスクを必要とする職種の中は、インフラ整備に携わる職種も多く、もしマスクがなければ工事の延長や中断という社会にとって大きく影響を及ぼすことになりかねません。また、もし現在災害が発生すれば、その復旧・復興に多大なる影響を及ぼし、人命にも関わる大きな問題として、二次災害、三次災害へと拡大する可能性も決して否定できません。

新型コロナウイルスの対策として、決して産業用防じんマスクの購入をしてはいけません。

着用義務就労者必要枚数
約2,200万枚/月

参考:一般社団法人 日本衛生材料工業連合会「マスク生産(国内生産・輸入)数量 推移


基本的に使い捨てマスクの再使用は不可ですが、このマスク不足に時期には再使用も考えなくてはなりません。
全国マスク工業会は、使い捨てマスクの再利用方法について、3つのポイントを以下のように紹介している。

①中性洗剤で、もみ洗いではなく、押し洗いしてください。
※漂白剤、柔軟剤の使用はお勧めしません。
②十分なすすぎをしてください。
③熱に弱い材料が使われているマスクもあるので、型くずれを軽減するためにも乾燥機は使わずに、十分に乾燥させてください。


現在のマスク不足で、皆様同じく、不安に感じている方が多いと思いますが、世間には、マスクが必需品、命に関わる問題とされている方も多くいらっしゃいます。どうか、そのような方々にこそ、マスクが届くように冷静な行動と政府、行政機関が対応いただけますことを切に願っております。


【 感染予防 】

【 感染経路が不明な感染者 】

東京都の小池知事が頻繁に「感染経路不明の感染者が増加している」と発言しているが、感染経路が不明なのではなく、感染者への聞き取りが不十分なのではないだろうか。ロックダウンを検討するのも重要であるし、経済対策や、病床の確保も大切であるが、これ以上感染者の増加を防ぐ対策も重要である、それには感染経路を明確にし、感染者と接触した人に「感染の恐れ」があることを周知徹底しなければならない。

感染経路不明とはいわゆる、飲食店や夜間営業店、風俗店での感染であると予測できる。

現在、個人情報保持や風評被害などに配慮して、感染者が来店した店名は公表していないが、この情報を公開しない方針が、感染者を急激に増加させる一要因であることに間違いない。

飲食店や物販店を営むことは、ある程度のリスクがることは店主は自覚しているはず、今回の新型コロナウイルスだけでなく、飲食店を経営していれば、O-157やノロウイルスなど食中毒を発生するリスクもある、食中毒を引き起こせば当然、社会に公開し、営業停止になる。新型コロナウイルスも同じではないか。確かに食中毒は店側が原因である可能性も高いが、来店者が持ち込む可能性は否定できず、店舗側の責任とは言えないが、食中毒を引き起こす細菌やウイルスも全てが店側の責任とは言えない、来店客が持ち込んだ可能性もあるとすれば同じだ。

個人情報にしても、誰も感染者個人の住所や氏名を知りたいわけではない。訪れた店舗と日時を知りたいだけである。その情報を公開すれば、その後に店を訪れた非感染者は、自宅待機をするか保健所への連絡をするであろう。それにより一人でも多くの被害者を事前に救うことになる。大体、個人情報保護法に「ただし、国民の多くに命の危険が及ぼすと認められるときにはこの限りにあらず」など法の隙間を記載しておかなかったことにも問題があるかもしれないが・・・。

感染拡大を防ぐには、いち早く感染者が訪れた時間と店名、住所の公表をすべきである。

ただし、店側に対して売り上げ金額の保証と、除菌作業終了時には、公的機関が調査を行い間違い無く除菌が終了していることを証明しなければならない。

東京都全体をロックダウンするより、店舗をピンポイントロックダウンする方が効果的であろうし、経済的にも精神的にも風評被害予防にも効果的であろう。

【 店舗側の対策 】

個人的にいくら気をつけていても、人々の間に温度差があることは、街頭アンケートなどを聞いていても明らか。

また、店舗側にも危機感がないのか、今回の感染予防対策を行なっている店舗が少なすぎるように思える。物販店では、店頭に来店者が近距離で長い行列ができていても構わず、飲食店では通常通りの椅子やテーブルの間隔で営業を行い、ただ、キャンセルが多く売り上げが減少していることを嘆く。店舗側は売上減少を嘆くより、感染予防対策に客席数を減らし、客同士の間隔を通常の2倍にするとか、来店時にはアルコール除菌を徹底する、注文は紙に書いて依頼する、お会計はレジに並ばないよう各テーブルでトレイに載せて渡すなどなど、知恵を絞らなければならない。

物販店で気になるのが、店頭の行列もあるが、レジ前の混雑とレジ後の袋詰めである、店内が混雑する店舗であれば店内の来店者数に制限をかけるとか、レジに並ぶ人の間隔を1m以上空けるように伝える、あるいは行列のできる場所に1m間隔でラインを引く、店内の換気回数を増やすなどの対策、レジ担当者には、素手でアルコール除菌をすると、手荒れが酷くなり特に女性には何回もの除菌を徹底することは酷な話、手袋をしてもらい、定期的に手袋の消毒をさせるなどの対策が必要なのではないだろうか。手袋さえすれば、貴重なアルコール除菌でなくとも、次亜塩素酸系の除菌水も使用可能となる。


感染予防は、個人向けに「三つの密」を無くすることと言われるが、個人だけでは限界もある、今回の新型コロナウイルスと戦うには、社会全体が「三つの密」を無くする努力をしなければ、感染拡大は防げない状況にあるようだ。

さすがに食料品店やスーパーマーケットでは、お惣菜などをオープンで販売している店舗はないと思うが、加熱しないで口にする、きゅうりやトマト、ねぎなどの野菜物も、できれば袋に入れた方が購入者としての安心感が向上する。


編集後記

残念ながら平成の時代、我が国は何度もの災害を経験し、甚大なる被害を出し、尊い命を失った。東北大震災では経験したことのないような津波に襲われ、今でも行方不明の方が2529人いる。この際「津波てんでんこ」という言葉を初めて聞き、自分の命は自分で守れということだと知った。今回の新型コロナウイルス対策も、津波の発生時と同じではないだろうか、自分お生命は自分で守るしかないとの自覚と覚悟がなければならない、そして災害時と同じように世界が称賛する日本人でありたい。


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浴室のカビ対策

浴室のカビ対策

もくじ

厄介な浴室のカビ
カビ数を減らす
浴室のカビ種
浴室のカビ対策
 ・カビ繁殖地とアジト
 ・目地や扉のパッキン
 ・アメニティーと備品
カビのアジト(巣窟)
 ・浴室扉の換気口・通気口
 ・排水口
 ・天井扇
 ・鏡の裏
 ・カウンターや収納の裏と底
 ・照明器具
編集後記


厄介な浴室のカビ

浴室は、高温多湿で部屋全体に石鹸カスや垢といったカビの好物が付着し、カビにとってはローマ時代の宴会か、清朝時代から始まったといわれる中国の満漢全席、酒池肉林の世界に違いない。

真菌学の先生は、こんな楽園からカビを追い出すために、入浴後すぐに換気するとか、壁や天井に付着した水分を拭き取る、さらに石鹸カスや垢などの汚れを徹底的に落とすなど、入浴毎の大掃除を真菌学の立場で推奨する。

真菌学の立場は尊重しなければならないが、暮らしに大きな負担を強いる毎回の浴室大掃除は、建築の立場から考えると心が痛む。

毎日、浴室の大掃除ができますか?私にはとても無理な注文。仕事で疲れて帰宅し、ほっと一息、

「さ〜っ!湯上がりの麦酒・ビール・Beer!」
「うー腹へった、さっとシャワーを浴び晩飯つくるか」
「家事は全て片付けた!これからが癒しの時間」

なんて時に浴室の大掃除なんかできますかっ!

かといって、浴室がカビに汚染されていれば、身体を綺麗にしているのか、もしかしたら、カビを身体中にまぶしに入っているのか大きな疑問が残る。

「浴室の掃除は、三度の飯より好きだ!」
「毎日、浴室掃除をしなければ生きていけない!」
「人生は、浴室の掃除にあり!」

などと、本心から掃除好きで、頼もしい方は意外と少なく、

「家庭平和のため好きなふりをしておる」
「家族の健康のためやむなく」
「好きではないが、・・・(とても書けない)」

と、いうところが本音ではないだろうか。

かといって、カビ取り剤を多用すれば、健康被害をもたらせる可能性が高くなる。仮にカビと人間が、防カビ剤を介して戦ったとすれば、カビの圧勝は火を見るより明らか、カビは数年で薬剤に対し耐性を持ってしまうからだ。その間に人間は、薬剤による健康被害を発症するに違いない。

薬剤メーカーが「パワーアップ」とか「さらに強力」「最強の」などと強調するのは、カビの耐性を見抜き、使用者の健康よりさらなる売り上げ向上のためではないだろうかと疑いたくもなる。

カビ数を減らす

カビが発生するのは、カビがそこにあるからで、大量に繁殖するのは、そこに常在するカビや胞子が豊富に存在するからである。

しかし、カビは、航空機のタンク内やカメラのレンズ内にも存在するように、この世の中、カビがない場所などあるわけもなく、中でも浴室はカビにとって楽園であることに間違いはないのだが、問題はその量であり、既存のカビが多ければ多いほどカビの繁殖量は多くなるため、浴室に既存するカビの量を減らさなければならない。

浴室のカビで困っている方の中には、天井はアルコールで拭き、入浴後の掃除や換気にも気を使っているにもかかわらず、いつの間にかアメニティボトルの底や水栓の周りにヌメッとした赤カビや、排水口や目地部分にはアメーバらしき黒カビは繁殖していることはないだろうか。

今はピカピカのお風呂、カビなんて無縁などと油断していても、カビは必ずお風呂に存在し、いつの間にか大繁殖の被害に見舞われるかもしれず、決して日頃の点検を疎かにしてはいけない。

カビ数を減らす効果は、例えば、キャベツやレタスなど結球野菜の茎が茶色に変色することに似ている。結球野菜の腐りは、腐食させる細菌が多く付着しているからであり、腐朽菌を極力減らしておけば、腐朽を遅らせることができる。

結球野菜を長持ちさせるには、腐朽菌を減らしておくことだ。買ってきた野菜の人が触ったと思われる葉は取り去り、茎部分は包丁で切り落とした後、水道水でよく洗う。水道水には残留塩素が含まれてるから、殺菌効果も期待できるのだ。人によれば残留塩素が害を及ぼす場合もあるが、野菜の洗浄には役立つ。水道水で十分に洗った野菜は、新しい袋に入れ冷蔵庫に保存する。

私の経験上1〜2回では、細菌が十分に洗い流せていないようで茶色く変色するが、大体3回ほど繰り返し、毎回新しい袋に保存すれば、その後は1週間位、茎が変色することは皆無である。ちなみに冷蔵庫は「ion Plasmacluster」

浴室のカビ種

浴室に繁殖するといわれる主なカビは、下記の通り。

■ アルテルナリア|俗名:ススカビ
 色:黒褐色
■ フザリウム|俗名:アカカビ 
 色:灰黄色、橙色、赤橙色、紫赤色、ピンク色、淡クリーム色、ライラック色
■ アウレオバシジウム|俗名:黒色酵母/黒酵母
 色:淡桃色(若い集落)~黒褐色(成熟)
■ クラドスポリウム|俗名:クロカビ/クロカワカビ
 色:濃オリーブ色、黒色
■ ケトミウム|俗名:ケタマカビ
 色:オリーブ褐色~暗褐色
■ ペニシリウム|俗名:アオカビ
 色:表面|青灰緑色、鈍緑色~青緑色、暗緑色、暗黄緑色、黄色、白

カビの特性をより詳しく知りたい方はこちらへ
住環境アレルゲン|カビ・真菌

よく見かけるのは、排水溝まわりやシーリング、タイル目地などに繁殖している黒いカビ、水栓や浴槽上部に広がる艶やかなピンク色や、シャンプーなどのボトル底部の妖しいヌメリではないだろうか。

浴室のカビ対策

浴室のカビ対策は下記の2点。

1)浴室内にある不要なものを全て取り除く
2)カビの巣窟となっている場所を探し出す

カビ繁殖地とアジト

浴室のカビ繁殖地とアジト

浴室内のカビ繁殖地は、目地や扉のパッキン、浴槽上部など簡単に目視できる場所と、シャンプーボトルの底や椅子、風呂桶など持ち上げて目視できる所に加え、ここが最も見逃しがちなのだが、取り外し可能な鏡や棚、排水口内部、換気扇内部そして、扉に付いている吸気ガラリ内部などである。これらは普段、直接見ることができない場所で、まさにカビのアジトとして最適なねぐらであり、常に検閲が必要な場所である。

目地や扉のパッキン

カビで黒ずんだ目地や扉のパッキン、浴槽などの上面にロゼワインでもこぼしたかと思われる淡いピンク色の滴などは、気付きやすく、その気になれば直ぐに除去が可能だ。除去方法は、カビが付着した素材により異なるのだが、タイル 目地やシーリング(コーキング)、ゴムパッキンのように内部まで浸透しているカビには、薬剤の使用が無難であろう。

タイル目地の場合、下手に表面を擦って除去すると、目地表面が荒れ余計にカビが付着しやすくなるため注意したい。シーリングであれば、防カビ性のある製品と打ち替える方法もあるが、ある程度トレーニングが必要であり、防カビ性のシーリング材といってもその性能保証には期限があると考えておく方が良い。カビ部分表面に打ち増しは厳禁、既存のシーリングは完全に取り除いてから打ち直す。

扉のパッキン部分も、カビが発生しやすい箇所である。パッキンの形状は、幾種類かあるので、目に見えない部分や裏面などもよく注意して見る必要がある。カビの除去は、パッキンの交換もしくは、薬剤使用になる。薬剤を使用する場合は、目線の上にまで散布する必要があるので、顔や目に無カビ剤が入らないように防護眼鏡やマスク、手袋などで十分に防護する必要がある。また、防カビ剤は飛散しにくい泡タイプが、扱いやすいようだ。

アメニティーと備品は脱衣室に置く

浴室のカビ対策「不要なグッズは出す」

浴室内にある不要なものとはまず、シャンプーやボディソープなどのアメニティー類、そしてスポンジ、桶、椅子などの備品類などである。

そんな無茶な!アメニティーグッズや椅子がないと風呂に入れないと仰る方もいるでしょう。いやいや、お風呂に入る時だけ持ち込み、普段は浴室から出しておくことが必要なのです。そうすれば、浴室内の棚やフックなど不要な備品も少なくなり、カビが繁殖する場所を減らすことにもつながる。

また、浴室の備品が多くあると、掃除に手間取りとても面倒である。ある家庭の浴室を見に行くと、ボトルが10本以上置いてあり???、家族それぞれ、特にお年頃のお嬢様方には、香りの好みが違うようでマイボトルを置いてあるとのことで、浴室はボトルで埋まり、私には、カビを養殖しているのか、養っているとしか見えないお宅もあった。

ボトルの底部分が、なんだかヌルヌルしていることに気づく方は多いだろう、そのヌルヌルは、カビである可能性も高く、ボトルをプラスチック性の小物入れに入れてあれば、ボトル底に加えプラスチック容器にもカビが繁殖し、カビの量は2倍にも3倍にもなる。

桶や椅子の底部分や浴槽の蓋が黒くなっていれば、それは間違いなくカビです。すぐに取り除き、浴室から出し乾かす。
基本的に、浴室内にアメニティー類を置きっぱなしにしてはいけません。浴室出入り口近くにボトル類が乾きやすいよう、メッシュ棚あるいはワイヤーラックを設置し、アメニティーや備品類を置くようにする。

カビのアジト(巣窟)

浴室カビのアジト

カビのアジト(巣窟)とは、目には見えないが、カビが大量に発生している場所で、一般的な浴室では、浴室戸の換気口やスリット、天井換気扇内部、鏡の裏面、排水口などが怪しく、定期的な点検が必要な箇所である。

中でも、浴室戸の換気口やスリット部分には、埃の中にカビが大量に発生している場合が多く最重要かつ要注意箇所だ。
浴室戸の換気ガラリ内部に埃などが溜まり、そこにカビが繁殖していれば間違いなくカビのアジトとなっている可能性は高く徹底的なガサ入れ、いや除去が必要となる。

浴室戸の換気口・通気口

名称としては「換気口」「通気口」の他「通風口」「吸気口」「ガラリ」などと呼ばれ、基本的には、扉や窓を締め切っていても、換気が出来るように取り付けてある。扉は衣服を脱ぐ洗面脱衣室側にあり埃が舞うところ、この換気口にはホコリが付着しやすく、適度な湿気がカビの発生に適した場所となるため、定期的に清掃が欠かせない場所。最近は埃が溜まりやすい横型より、埃が溜まりにくい縦型の通気口が主流になりつつあるようだ。

浴室戸の種類

浴室戸の種類

浴室戸の種類は、基本的に「引き戸」「片開き戸」「折れ戸」の3種類。素材はアルミ製もしくは樹脂製である。いずれも取り外して扉の底まで掃除することは可能ではあるが、「引き戸」「折れ戸」は取り扱い説明書に従い簡単に撮り外しが可能である一方、「片開き戸」は蝶番の種類によりビスを外す必要があり、種類によっては枠内部に固定される補強金具が落下し、再度の固定ができなくなる恐れもあるので、取り外し時には注意が必要というより専門家に依頼すべき。

メンテナンスの面からも、浴室の扉に「片開き戸(片開きドア)」は不向きと考えた方が良いだろう。

換気口・通風口の種類

浴室換気口・浴室通風口の種類

浴室戸に付く横型換気口の種類は、基本的に「片流れ」「山形」「枠付けスリット」の3種類。

現在の主流である「片流れ」は、ブラシやヘラなどを使い掃除もしやすく、定期的な点検を心がけたい。またカビが発生しても換気口自体を取り外し洗い流せる製品も多いようだ。

「山形」は少々年代が古いようで、掃除は面倒。掃除機やブラシ必要であればシャワーなどで埃を取り去り、カビが付着していたならアルコール、防カビ材などを噴霧し、竹串にペーパータオルなどを巻き付け擦り付けるように汚れを取り除く。

「枠付けスリット」は上方にあるため埃の付着は少ないと考えられるが、カビが発生していると頭上からカビ胞子を被る恐れが大きく、日頃の点検と掃除は欠かせない。もしカビが発生しているようであれば、アルコールなどを含ませたキッチンペーパーなどで、胞子が飛散しないよう静かに拭き取り掃除をしていただきたい。

浴室戸の掃除道具

浴室カビの掃除「換気口・通気口」掃除道具

換気口にカビが発生していた場合の掃除道具は、掃除機用のブラシやシャワー、扉を傷つけないようにプラスチックのヘラやブラシと、アルコールを含ませ拭き取るための、竹串や割り箸などにキッチンペーパーを巻き付け、テープで固定したペーパーブラシを作ると便利。

排水口

垢や髪の毛などがこびりつき、あまりにも汚れていると思わず目を背けたくなる排水口には、黒カビが繁殖しやすい。浴室の中でも特に汚れやすい所ではあるが、一度きれいに掃除を行えば、その後、湯上り前に軽くスポンジで擦っておくだけで、綺麗な状態を保つことができるので、是非実行していただきたい。

天井扇

いっそのこと、天井扇なんてつけない方が良いのでは?と思うくらい厄介ではある。天井扇本体はまだしも、外部へ送風するダクトは、湿気を多く含んだ空気が、ダクト内部で結露するであろうし、多少なろうとも埃が溜まっていれば、カビにとって楽園のようなもの。ダクト内のカビは、換気扇を回していれば室内側への飛散は少ないと考えていますが、ダクト内部の掃除は難しので、専門業社に頼らざるを得ない。

浴室カビの掃除「天井扇」

換気扇の掃除は、それぞれの取扱説明書に従い、安全に十分な配慮をした上で、掃除をしていただきたい。ただし、高所にある換気扇を取り外す際に、脚立を使うなら滑りにくい製品か、脚立の下にバスマットやバスタオルを敷くなど安全に注意し、カビ胞子を吸い込まないよう頭巾やマスク、メガネは必需品。

カビ対策には天井扇よりダクト不要の壁付けのプロペラファンタイプを選びたい所でもあるが、機密性が天井扇よりも悪く、強風の時には外気が入り込みやすい欠点もある。

鏡の裏

浴室カビの掃除「鏡の外し方」

4個の金物で取り付けられた鏡は、取り外し可能な鏡であり、裏側には3mmほどの隙間が空いているため、付着した垢や石鹸カスにカビが大繁殖している可能性がある。

鏡は長穴があいた金具で固定されているので、上方の留金具2個を上方向あるいは左右方向にスライドさせ、鏡の下部分に爪を描けるようにしてしっかり持ち、反対の手を鏡の横を支え、少し上に持ち上げるようにすると取り外すことができる。取り外した鏡は、折り畳んだタオルなどを濡らして床に敷き、その上に壁面に立てかけるように置けば安定している。鏡裏と鏡が付いていた壁面を丁寧に掃除をし、取り外した鏡を元に戻し、金具を元の位置にスライドさせ固定すれば作業は終了!

ユニットバスの中には、最初から本体に固定されている鏡であれば裏側の掃除は不要ですし、今回紹介した金具以外の製品も販売されている。取り外し方が不明な場合には、取扱説明書あるいは、メーカーにお問い合わせください。

取り付け金物が手で動かないようであれば、細いマイナスドライバーを金具と鏡小口の間に静か位差し込み、ドライバーの持ち手側を鏡の方へ押し付けるように押し、スライドさせる。

注 意

鏡を取り外す場合は、決して入浴時に裸で行ってはいけません。そりゃ入浴のついでに鏡裏も一緒に掃除をしたくなる気持ちは、よく分かります。しかし、濡れている鏡は滑りやすく間違って落として割れてしまったら、もし身体を切ってしまったら、そしてもし大静脈でも切ってしまっら、裸のまま救急車に載せられ、鏡の掃除どころか人生の大掃除をすることになるかもしれない。

浴室鏡の掃除は、必ず着衣にて浴室用のスリッパ、あるいは厚手の靴下を履き、細心の注意を払っていただきたい。

カウンターや収納棚の裏と底

浴室内に備え付けてあると便利なカウンターや収納棚なども、カビが発生しやすい場所である。特に、普段目につかない裏側やボトルなどの底部分は要注意。カウンターの裏部分などは凹凸も多く、鏡やスマートフォンなどを使い念入りな点検が必要。

照明器具

独立して取り付けられることが多い照明器具の周りには、カビの発生が少ない傾向にある。ただし、照明上部にホコリなどが溜まっていると、カビが発生していることもあるので、雑巾やペーパータオルで拭いておきたい。もし、カビの発生があれば、アルコールなどを吹き付け、念入りに拭いておく。

器具内部にカビが発生していたなら、照明カバーを取り外し内部の掃除をする。浴室に取り付けられる防水型の照明カバーの多くは、反時計方向に回すと取り外しが可能。

エプロン裏

ユニットバスの排水方法の中には、浴槽下に排水を床に垂れ流す種類もあります。この種の浴槽下には、垢や石鹸カスが付着しカビが大量発生している可能性が高く、定期的に掃除をすることをお勧めします。エプロンの外し方は、基本的にエプロン下部を持ち上げるように手前に引くと外せますが、詳細は各メーカーにより異なりますので、取扱説明書を参考にして下さい。

長年点検していないなら、その汚れに驚くはず。もし、内部の激汚れに手に負えないと感じるなら、専門家に依頼。


編集後記

どんなに毎日掃除をしていてもカビが発生するなら、不要なものを取り除き、カビの巣窟をなくした上で、換気や掃除に気を配ることだ。

ユニットバスの掃除は、取扱説明書に記載されている方法に従い丁寧に掃除をしていただきたい。造作の浴室にカビが大量発生していたなら、使用している素材によっても対策は変わるので、やはり住宅会社や専門業者に相談する。

新築計画をしている方は、浴室はとにかくシンプルに造ることに限ります。

また、最近市販されるユニットバスは、掃除がしやすくなっている製品もあるようだが、余計な棚やカウンターが付いていれば、カビの温床になります。天井もフラットな方が掃除も楽ですし、カビも繁殖しにくい。

造作の浴室であれば、カビが発生しにくく掃除がしやすい素材を選び、木製建具には「ガラリ」はつけない方が良い、掃除が面倒なガラリをつけなくとも、建具枠と縦框の間に隙間を作っておけば、十分に換気機能を果たすことができる。

見た目や機能も大切であるが、住宅には、掃除のしやすさも重要な性能の一つである。
一体、誰が掃除をするのですか?


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欠陥住宅

初投稿2019.9.10/更新2019.9.17

欠陥住宅

同じ業種に生きる者として恥ずかしい限りだが「欠陥住宅」の被害がなくならない。
今朝も宮崎県で発生した欠陥住宅について報道されている。 詳細な部分は不明だが建築規模は、約40坪、鉄筋コンクリート屋上付き2階建、住宅価格は1,850万円とのこと。完成後半年以内の雨漏りや室内壁、床下には大量のカビが発生し、内装仕上げ材はすでに剥離している、しかも建築会社は音信不通状態にあるようだ。

映像から判断すると内装壁、天井仕上げは、コンクリートに直接塗料を吹き付け、床は根太組みにフロアーパネル仕上げしている様子で壁、床ともに断熱材は入っていない様子。鉄筋コンクリート造の場合は、内断熱より外断熱の方が効率が良いとされ、もしかすると外断熱かもしれないが、カビの発生状況から断熱材は入っていないだろう。

現時点で、非常に大きな精神的苦痛を受けている被害に遭われた方には申し訳ないが、もう少し住宅事情に詳しければ、このような被害を避けられたに違いない。

そもそも、延べ床面積40坪の鉄筋コンクリート造で建築価格が1,850万円とすると坪単価は約45万円となり、鉄筋コンクリート造としては異常に安く不適切な金額といってもよい。国土交通省が発表している一戸建て注文住宅の全国平均坪単価は、約64万円である。これは構造を問わない全国平均単価であり、鉄筋コンクリート造だけであれば、おおよそ96万円が平均単価である。

平成30年度 一戸建て持家住宅平均床面積・工事予算額・単価表

平成30年度 各工法の一戸建て持家住宅平均床面積・工事予算額・単価表
参考:政府統計「e-Stat」より作成

木質系のローコスト系住宅では「坪単価30万円」と大きく印刷された広告を目にすることがある。この「坪単価30万円の家」を実際に住宅会社に依頼しても、契約段階の見積金額を建築確認申請の延べ床面積で計算すると、おおよそ坪単価50万円から60万円になるはずだ。「坪単価30万円の家」だと信じている方には嘘をつかれたように感じるかもしれないが、簡単にそれを「虚偽の広告」と言い切れない部分もある。

広告の坪単価を表示している近くに小さく「施工面積」と書かれているはずである、「施工面積」とは、建築確認申請に記載する「延べ床面積」に加えて「庇」や「軒の出」「ウッドデッキ」「玄関ポーチの土間」「犬走り」など工事範囲全体の面積になり当然、床面積より広くなる。坪単価は「工事金額」を「面積」で割った金額になるので「述べ床面積」で割るよりより、一回りほど広くなる「施工面積」で割る方が坪単価は安くなる。
また「金額」も「工事金額」と「本体価格」の2種類あることに気をつけてほしい。ローコスト系の住宅会社は「本体価格」を使用している会社が多いようだ。

では、住宅の本体工事とは何か、現代社会で目にする製品価格の多くは「本体価格」で表示され、皆さんは違和感なく受け入れているだろう。例えば車であれば「車両本体価格」と表示され、この金額に諸費用や、お好みのオプションを付けると、その分高額になることを認識しているでしょう。工場で生産する車であれば「部品の金額」と「組み立て費用」これに「諸費用」を加えた金額を考慮し「車両本体価格」として表記されている。しかし、住宅の場合は、材料や製品など部品だけでは完成しません、現場で組み立て(建築)しなくてはならないのです。そうです!ローコスト系住宅会社の中には、車でいうところの組み立てに関する費用が含まれていない場合があります。要するに部品代だけの表示をしている場合があるのです。この本体価格に別途、確認申請や設計料などの諸費用に加えて、工事をする際に必要な足場代金をはじめとする仮説費用、また職人さんの費用、道路から建物までの上下水道や電気、ガスの引き込み費用、また最近は義務化している地盤調査費用なども別途料金として加算されます。

先に持家一戸建て注文住宅の全国平均単価が約65万円ですが、木造住宅に限ると約60万円です。私が知りうる限り、自然素材を多く使った木造注文住宅の平均価格でも「延べ床面積」で割ると、おおよそ60万円から70万円で合板や塩ビを極力使用せず、将来も廃棄物ではなく財産として残せる「自然素材の家」を新築できる。いや、長い目でメンテナンスコストも考えると、ローコスト住宅よりもずっと安く、経済的に賢い家が建つ。ローコスト系の住宅を新築し「安く新築できた」と満足している方には申し訳ないが、あと坪単価で10万円ほどあれば、自然素材をふんだんに使用した注文住宅を手に入れることができたはず。

それも坪単価で考えた場合です。

住宅会社の広告を見ていると、下手な設計士が考えた間取りには不要な箇所が多く、ただ床面積が広くなっているだけで、素人でも考えられるような間取りも多く見かけます。設計力がある工務店や住宅会社であれば、同じ工事金額で暮らしやすく、無駄のない間取りを含めた設計を提案するでしょうから、住宅の総工事金額は自然素材を使用した住宅でも、ローコスト系の住宅でも、あまり変わらないでしょう。工事金額は決して坪単価で考えてはいけません、とにかく住宅会社に問い合わせるときには、希望床面積と希望総工事費を聞いてください。

さて、問題の欠陥住宅ですが、当該住宅会社は、建築費の安さも売りの一つとしていた様子で、堂々と「一般的な建築費の半額で施工する」とホームページにも書かいていたようです。確かに一般的な鉄筋コンクリートの坪単価が、おおよそ90万円に対しこの欠陥住宅の坪単価は約45万円ですから、広告に嘘はなかったようです。ただ、工事に偽りがあったことは許しがたいことです。

予算的な話をすると、全国規模の大手ハウスメーカーを別にして、一般的な地域の住宅会社の粗利は、おおよそ20%から35%、ただ20%ほどの粗利であれば会社経営は不安定な経営状態にあると推測され、安定的な経営を継続するには、最適でも25%は確保しなければ安定的な経営を望めない住宅会社の実情も皆様には知っていただきたい。

住宅会社は、大きな金額を扱うので、一般的には利益も大きいなどを思われがちですが、決してそのようなことはありません。住宅会社は、粗利5%の違いでも経営状態に大きな差を生み出す経営体質であるにも関わらず、一般的な金額の半額で工事を請け負うことができるとすれば、大量に安く材料を仕入れることが可能なのか、特殊な技術を持っている、あるいは非常に安い労働力を使うなどが考えられるが、いずれも国内の建築業界では考え難い。

材料の仕入れといっても、独占禁止法は別にして、建築業界の仕入れ材は、そのほとんどの材料で同一規格であれば、コンクリートや鉄筋、内装材、配管材など横並びの金額設定になっているのが現実で、一般的な価格の半額で材料を仕入れすることは難しい。
それでも、住宅会社がなんとか採算を得ようとすれば悪質な粗悪品の使用や、手抜き工事を行うことになる。過去には「シャブコン」が大きな問題となり、マスコミに連日取り上げられた。「シャブコン」とは、身体を蝕む麻薬の方ではなく、現場で生コン車に水を注入した水っぽく建物を蝕むシャブシャブのコンクリートをいう、もちろん強度が極端に劣化するため御法度であり、いくら会社の利益のためとはいえ、決して許されない社会に対する背信行為である。

一般的な住宅工事であれば、最も簡単に予算を減額するには、材料の仕様変更や粗悪品を使用するより、工事そのものを無くすることだ。断熱工事や防水工事、内装工事、設備工事など主要構造体以外の工事は、建築基準法に関係なく削ったり、どのような材料を仕様してもよく、この行為は、いわば住宅会社の信用問題であり、違法ではない。

皆さんは建築基準法といえば何かしら厳格な規定があるとお思いかもしれないが、現実は、かなり漠然とした法規であるため、建築基準法に適合していれば、なんの心配もなく素晴らしい住宅が完成するなどと考えていると、とんだ欠陥住宅をつかまされてしまうかもしれません。

正直に言って、雨漏りなどが発生すれば欠陥住宅のレッテルが貼られるかも知れない。建築界の巨匠である丹下健三氏が設計した建物は雨漏りが多く、しまいに氏は「建築は、自然に逆らって存在するものであり、決して自然に逆らうことはできない」などという、建築界にいるものには、心強い名言を残した・・・?とも言われる逸話があるくらいだ。
決して発生させてはいけない雨漏りだが、その多くは、住宅会社の過失によるもので、施工ミスの一つであり、もし発生すれば住宅会社は、早々に補修に駆けつけるであろう。

しかし、今回の宮崎県で発生した欠陥住宅は、テレビ画面で見ただけなので予測ではあるが、かなり悪質で意図的に欠陥住宅になりうることを承知したうえで計画したように見受けられる。欠陥住宅になるだろうことを、十分予測していたのではないだろうか。多分、計画段階で誰か第三者の専門家に設計図および仕様書、見積書を見せていれば計画段階でも簡単に欠陥住宅であることが見抜けたに違いない。

あくまでも欠陥住宅は、設計者や施工者の意識の低さや無責任な行為であり、同じ業界人として無念な話であり、非常に憤りを感じ得ないが、皆様も肝に命じていただきたいことが一つある、欠陥住宅は単に大きなゴミでしかない、住宅建築において「安物買いの銭失い」とは、本当によく的を得た言葉で、その通りなのだ。欠陥住宅ばかりではなく、安く建てた家は、将来ゴミにしかならないのが現実です。もう少し視線を変え色々な住宅会社の中には、将来財産となり得る住宅を建築している会社も多くあることだけは、忘れないでほしい。

医療関係では、セカンドオピニオンに相談することが普通になりつつあるように、ご自身とお家族の人生を大きく左右する住宅の新築、増改築工事を行うときにもセカンドオピニオンに設計図や工事内容、使用素材なども気軽に相談することが必要ではないでしょうか。

セカンドオピニオンご相談窓口

特集 古代の超高層新築工事

古代の高層建築物を新築する施工法を図解

国宝「袈裟襷文銅鐸」をご存知の方も多いと思います。江戸時代に讃岐国(現在の香川県)で発見されたと伝えられ、弥生時代(前2~前1世紀)の「棟持柱家屋」が刻まれた銅鐸です。古代の高層建築物としては、棟持柱はありませんが、青森県の三内丸山遺跡に復元された大型の掘立柱建物も有名ですね。
現代のように大型のクレーンもなかった時代、多分ツタやツルなど植物で編んだ綱だけを使い、いかに高層の建築物を建てたのか気になる、気になると建築の立場からその施工方法を考えたくなった。

国宝「袈裟襷文銅鐸」棟持柱家屋 イラスト 

施工法を描くにあたり、銅鐸に描かれた線1本が、1本の木材と考え、材の内外位置を判りやすくするため2本線で表しました。また高床部分の2本の線は、太い材を表しているのかとも考えられたが、銅鐸の写真を拡大してみると、両端の柱から線が飛び出し、井桁に組んでいると思われたことから2段の床桁と考えています。建築の立場としては桁材を2段にする意味として、この間に直行する妻側の材料を挟んだものと思われる。また、屋根を支える桁材も2段になっているが、最上部の桁だけ柱の外側に桁が配置されているように見えることから、最上部の桁だけ外側に配置しているとした上で施工方法を考えています。

材料と道具

古代の超高層建築 使用材料 道具 仲間たち

施工道具:石斧、錐、綱、岩石
使用材料:木材(丸太)、竹、笹、藁、小枝、茅、その他
施工人数:20名ほど。

長尺柱の建て方

一番の悩みどころは、あの長尺の柱をいかに建てたか?もちろん諸説あるでしょうし、私が知らないだけで、誰かがすでに考えた方法と一緒かもしれません。
石材のオベリスクの立て方は、スロープで高所まで持ち上げ、斜面に沿って滑り落とし穴の中に入れた、という説が有力視されているようです。高床家屋に使用されているのは、木材の丸太で石材より軽いといっても、長尺で太い丸太を建てることは、そんなに簡単ではない。
では、どのようにして長く太い丸太を建てたのだろうか。
それは、テコの原理を応用ではなかろうか。そんな縄文時代や弥生時代にテコを応用するなんて・・・と仰る方もいるでしょう。しかし古代人をなめてはいけません。高床式住居の組み立て時に何かの拍子で倒れた材料に綱が絡まり、それを引っ張ってみると軽く感じたなど、長い年月、多くの建物を建てているうちに、何かしらのヒントがあったであろうと推測します。

柱の建て方 1

テコの原理を応用し柱を建てるにも、柱穴に柱を建てる方法として、幾通りか考えられます。
最初に想像してみたのが上の方法です。
柱穴の上に柱と直角に縛り付けた丸太を渡し、引っ張る方法です。この方法だと柱穴には1/4円状に掘っていなければなりませんが、そのような痕跡が残っている柱穴は、残念ながら私の知る限りでは発掘されていないようです。

長尺柱建て方 2

次に柱を滑らせてみましょう。柱の回転軸にするため横材を縛りつけ、その下に小径の丸太を数本並べ、その上を滑らせる方法です。この方法は各地の古代遺跡に使用された、重量物の移動手段としてはよく見かけます。丸太のままでは滑りにくいと思われますので、油のようなものを塗り、滑りを良くしたことでしょう。あまり横材と敷いた丸太の間に抵抗がないと、逆に柱を建てにくくなりますから最も現実的だったかもしれません。

長尺柱建て方 3

次の方法は、竹や小径の丸太をコロとして使い、その上を柱を転がしながら柱穴に徐々に入れる方法です。この時代にコロなんて使っていないとのご意見もあるかもしれませんが、竹の上に足を乗せてしまい転倒した人もいるでしょうから、それをヒントにコロを使う方法に気づいたとしておきましょう。しかしこの方法では、長尺柱を移動させやすいでしょうが、柱に回転軸として縛り付けた横材とコロに間に抵抗が少なく、長尺柱を建てるには難儀したでしょう。
そこで、遺跡の柱穴横の窪みに岩石を置き、柱穴に長尺柱を埋め込みやすくしたのではないでしょうか。

長尺柱建て方 4

新築工事

新築工事 1

新築工事1
当初は柱を1本づつ建てたと考えてもみましたが、それでは柱に桁を縛る時、人が籠に乗り釣り上げて作業をしたとしても、あまりにも不安定ではないだろうか。また桁を釣り上げるとしても縄を掛ける場所も無い。作業性も悪く、安全性にも問題が多い。今なら労働基準監督署が飛んで来る。しかし地上で建物片側の4本柱と屋根桁を縛りつけ、一緒に建てることを考えれば、安全で作業性が良いことに気がついた。現代の建物は下から順番に建て方を行うが、古代人は上から組むことを考えたに違いない。

新築工事 2

新築工事2
イラストでは4本の柱を一緒に建てているが、あまりにも重いようであれば、両端の2本を建てたかもしれません。次の工程では屋根の桁部分に綱を掛け、籠に入った人を吊るすので、安全性や強度の点からも4本同時に建てたいですね。

新築工事 3

新築工事3
屋根桁も縛り付けた長尺柱を建てた後、その屋根桁に綱を掛け、床桁の上の1本を吊り上げるとともに、人間用の乗る籠を吊り上げ床桁の取り付け作業になります。これで両手を使って床桁を強固に取り付けることが可能となります。

新築工事 4

新築工事4
次の工程は反対側の柱を建てます。今回は既に建てた側の桁に綱を掛け引き起こします。イラストでは屋根桁と床桁1本、合計2本の桁を地上で組み立てます。多分これでも引き起こしやすいので大丈夫ではないでしょうか。もちろん無理そうであれば屋根の桁1本だけ縛り、床の桁は新築工事2と同じ方法で作業をします。

新築工事 5

新築工事5
桁方向の柱を建て、上側の床桁を1本取り付けた後、妻側の床梁を吊り上げ、桁側の床桁の下に各2本取り付けます。もちろんこの作業の前に柱が垂直に建っているか、下げ振りなどを使い確かめたか、誰か目のいい人が垂直の確認をしていたでしょう。
そういえば、長い橋梁の橋脚を垂直に建てると橋脚の間隔が上下で違うと聞きました。そう地球は丸いからです。

新築工事 6

新築工事6
妻側の床桁を各柱に2本ずつ縛り付けた後、妻桁下に桁側の床梁を取り付けます。桁材は下から綱で引き上げていますので、しっかりと固定できます。

新築工事 7

新築工事7
床桁と床梁が全て組み上がりました。

新築工事 8

新築工事8
床に敷く材料を吊り上げます。材料は竹や小枝、笹、葦、茅、蔓、蔦など近隣に生える植物を使用したことでしょう。床梁が2本並んでいることも、1本より作業の安全性が高まります。

新築工事 9

新築工事9
床は最初に竹もしくは小径の丸太を床梁と床桁に綱で縛り固定します。その上に小枝を敷き、さらに茅を敷き詰めたかもしれません、この吹き方は竪穴住居の屋根と同じ手法です。しかし床であれば、小径の丸太や竹を縛り付けただけでも、人が乗って何ら支障なく活動することができたでしょう。さらに笹や茅であれば、やはり切り傷が絶えなかったことと思います。竹や丸太であれば傷つくこともないでしょう。

新築工事 10 「上棟」

新築工事10
さて新築工事の大きな行事、最重要の工程を迎えます。棟持柱と胸を縛り、固定した材料を引き起こします。建物も床組で固定されたおり、屋根桁に綱を引っ掛け、棟を固定した胸持柱を引っ張り上げても、建物の強度は問題なかったでしょう。この施工方法であれば、棟持柱が建物本体と離れて建てた理由がの一つではないでしょうか。

新築工事 11

新築工事11
棟木を取り付けた棟持柱は、ある程度の重さもあったでしょうから、棟上げには、綱を引く者や先端が二股に分かれた木起こしの棒を持つ者など、皆が総出で建てたでしょう。柱穴には岩石を置き、柱がうまく柱穴に入るようにしています。

新築工事 12 「上棟の祝い」

新築工事12「上棟式」
棟持柱建物本体が、祭礼のための建築物であるとする意見もあるようだが、現代のように建設機械もない時代に、これほど大規模建築物の上棟が完了した時点で、祭礼が行われたに違いない。建物前に祭壇が組まれ、海の幸山の幸が備えられ、苦労話や無事に棟上げを完了したこと、次回の改良箇所などを話し合っていたのだろうか。

新築工事 13

新築工事13
棟木に綱を引っ掛け、屋根の妻梁を吊り上げ固定します。屋根桁が柱より出っ張っているので、先端が二股になった押し棒で、屋根桁をかわし桁上に乗せ、取り付けます。屋根の妻桁は各柱位置に取り付けたかもしれませんが、ここでは、特に建築工事に必要がないと判断したので省いています。

新築工事 14

新築工事14
階段を取り付けます。先に取り付けた屋根妻梁に綱を掛け、階段を吊り上げ高床に乗った人が引き寄せ、階段を設置します。階段は丸太を半割りにして、段を石斧で刻んだでしょう。

新築工事 15

新築工事15
屋根垂木の取り付け。小径の丸太もしくは竹を垂木として、棟木に籠付きの綱を掛け、人を持ち上げ屋根桁と棟木の間に垂木を渡し固定します。垂木は斜めに交差させることで前後方向の揺れにるよくなり、屋根桁と棟木を固定することで生じた三角形が多少細い棟木であっても、構造強度上問題はなかったと思います。

新築工事 16

新築工事16
いよいよ最後の工程、桁側の屋根桁を取り付けます。棟木に綱を掛け屋根桁を建物の外側に釣り上げ、屋根垂木の上に固定します。ここでも屋根垂木が柱より張り出していますので、押し棒で屋根垂木をかわし垂木上に乗せます。取り付けには屋根桁に綱付きの籠を引っ掛け、作業する人を吊り上げます。

完成

完成
以上の工事工程を経て独立棟持柱建築は、クレーンを使用しなくても綱を使用するだけで完成します。銅鐸に描かれた絵だけで想像した工程ですし、私は現地調査もしていないので、多少の間違いはあるかもしれません。そこは建築家が限られた道具だけを使い、豊かに想像力を膨らませ、高層建築物を施工する場合の工事工程です。